なんのことはない、条例を定めたはずの大阪府は柔軟な対応を行い、2か所の喫煙所を設置しているのだという。

 これに対し市側は「大阪府庁舎には府条例制定前から周辺に2か所喫煙所が設置されていることは認識しております」としながらも、「当該喫煙所は第1種施設である府庁舎の敷地ではない場所に設置されている」と答弁。つまり第1種施設ではないのでセーフという理屈だ。ただしそこは「大阪府が管理している所有地」であるのは確かなのだという。

 続けて木下市議は、「大阪府下の衛星都市の市会議員にいろいろ聞いたら、市役所の来庁者用駐車場に喫煙所を作って職員も市民も利用してますよ。 こんな市町村、役所がいっぱいある。全部調べたわけではありませんが、私が調べた範囲で43、府下の市町村の1/3以上の役所で、屋外の喫煙所を設置してしている」と指摘し、改めて「(市庁舎への喫煙所)設置の検討をしていただけませんか?」と問いただした。

 しかし、市側は「府条例におきまして、第1種施設には特定屋外喫煙場所を設置しないよう努めなければならないとされていることから、現在設置の予定はございません」と従来の見解を繰り返すのだった。

大阪府「庁舎敷地外であれば各自治体判断で喫煙所は設置可能」

 週刊女性PRIMEは木下市議が指摘した府庁舎の喫煙所について、大阪府に、【1】「府庁舎に喫煙所が設置できた背景をお教えいただけますでしょうか」【2】「自治体管理地における喫煙所設置は可能でしょうか」との質問を投げかけた。

 まず【1】については、

「大阪府では、平成20年(2008年)から庁舎敷地内を終日禁煙とし、平成22年(2010年)からは庁舎周辺での喫煙自粛を呼びかけてきたが、大手前庁舎周辺における路上喫煙に対して苦情があったことから、庁舎敷地内終日禁煙の方針を堅持しつつ、大手前庁舎周辺における受動喫煙防止をより一層進めるために、庁舎敷地外の府管理地に喫煙スペースを設置したものです」

 そして、【2】については、「庁舎敷地外であれば健康増進法にも大阪府受動喫煙防止条例の努力義務にも抵触しないので各自治体の判断で喫煙所の設置は可能です」とコメントした。

 第1種施設は避けることになろうが、それ以外なら自治体管理地での喫煙所設置は可能なのである。

 大阪市は世界一厳しいといわれる喫煙規制を敷く一方で、喫煙所設置へのこの消極性である。週刊女性PRIMEでは、東海大学名誉教授で、神奈川県「たばこ対策推進検討会」座長の玉巻弘光さんにこの度の一連の大阪市の対応について見解を聞いた。