「大阪府条例に喫煙場所設置に関する努力義務としての禁止条項があるとしても、大阪市内公道すべてを禁煙とするというドラスティックな規制を新たに導入する以上、そのような市規制がなかった時期に制定された府条例を根拠に喫煙場所設置を拒むということは不合理でしょう。公道禁煙にするのであれば、代替措置として喫煙場所を十分に設ける必要があります」
さらに、玉巻さんは、市の姿勢に別の方向性からも問題点を提起する。令和6年度に大阪市は約308億円の市たばこ税収入を得ているのだ。これは47都道府県の県庁所在地の中で最多である。
「市のたばこ税収を考えると、整備する気になるかならないかだけでやろうと思えばできる。大阪市は東京23区と比べ小さな公園が少なく、そういう意味では土地の手当が難しいのかもしれません。しかし区役所の敷地、公民館などの行政財産の敷地は随所にあるので、そのような場所に整備することはできるはず。路上もダメ、そして庁舎敷地内もダメ、これでは300億払っている人への道理が通らないでしょう」
あの飛田新地も公費に頼らず喫煙所を設置していた
実は、朝倉未来の会社が喫煙所をオープンした12日後、あの有名な歓楽地「飛田新地」(大阪市西成区)でも喫煙所がオープンしていた。飛田新地料飲組合が私費で設置したものである。これまでは利用客用の灰皿を設置していたが、路上喫煙全面禁止後、路上喫煙にあたることがわかり、開設に踏み切ったものだという。
消極的な行政をよそに、しびれを切らして喫煙所を置く民間。大阪市は『府条例があるからできない』ではなく、どうすれば足元の市庁舎や区庁舎近辺の喫煙所不足の問題を解決できるかを考え、設置していくことが自分たちが作った条例記載の“市の責務”を果たすということではないだろうか。万博会場では当初禁煙としていた会場内に、新たに喫煙所を設置する判断をしたという。ピーク時の来場者が20万人を超える大型イベントなだけに妥当な判断だろう。こうした実態に沿った臨機応変な対応を行政にも望みたい