巷に蔓延る過酷なシニア労働の実情

CASE1:Aさん(60代・女性)「訪問介護の掛け持ち詰め込みでキャパオーバー」

 在宅介護を行う事業所で訪問介護員(ホームヘルパー)として週5日働き、勤務日は担当する家を自転車で何軒もはしごしていたAさん。

 事業所は介護報酬を増やすべく1軒でも多く被介護者宅を訪れる予定を組むため、シフトの移動時間は常にギリギリだった。

 ある日、前の現場で少し時間超過してしまい、いつにも増したスピードで次の現場へ向かっていたところ、思い切り転倒。腕と足を骨折して入院し、リハビリを含め半年も休職となった。

CASE2:Bさん(70代・女性)「高齢者だからヒマでしょ?」とハードなシフト

 近所のスーパーで働くBさんは、早朝からの品出しが主な仕事。

 他の30~40代の同僚より比較的時間に余裕があるという自覚はあるが、週末や年末年始などの繁忙期は「どうせ予定なんてないだろう」と思われているのか都合を聞かれることなく勝手に勤務日にされることが続き困惑している。

 さらに、他の人が敬遠する倉庫の整理を1人で担当させられ、無理がたたって転倒し負傷。年齢的に転職は難しいので我慢しているが、ぞんざいな扱いをされてつらい。

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取材・文/河端直子