「クレームなし」の理由
また、視聴者が離れていかないことにはこんな理由も。
「これまでの大河で主人公になった源義経や徳川家康、渋沢栄一などは教科書にも出てきた有名な人物ですが、今作の主人公・蔦屋重三郎のことを詳しく知っていた人はほとんどいないでしょう。昔だったら人物事典を見るか、わからない言葉を聞いたら辞書で調べるしか手段がなかったのですが、今はインターネットという便利なツールがありますから、簡単に検索できます。慣れた人なら、ドラマを見ながらでも検索できますし、それほど苦痛ではありません」(同・テレビ誌ライター)
NHKの関係者は、こう語る。
「大河だけではなく、ほかの民放の時代劇でも、話し言葉はその時代の言葉のままだとわかりにくいので、できるだけ現代の言葉に変えています。『鎌倉殿の13人』や『光る君へ』などでも現代風にアレンジしていて、確かに違和感があると思いますが、クレームを言ってくる視聴者はいませんでした。『べらぼう』でも話し言葉は江戸弁で若干、現代風にしていますが、当時の専門用語は変えることはできないので、そのままにしています。最近のテレビは字幕を出すこともできるので、音だけでなく文字も確認でき、調べやすいと思います。今のところ、“わかりにくい”といったクレームは来ていませんね」
そして、どうやら視聴者は“検索”そのものを楽しんでいるようなのだ。大河ファンからは、こんな声も聞かれる。
《新しい知識を得ることで、うんちくが増え話題が増えるのはいいことですし、ボケ防止にもなりますから。Eテレで放送してもいいくらいです》
面白いだけでなく、勉強にもなる『べらぼう』は“学習型ドラマ”という新しいジャンルを築くのではないだろうか――。