「私は米屋としていろんなお米を口にしていますが、一般的な普通の新米と政府が管理していたような古い米では正直、味に大きな差はないと思います。というのも近年は低温低湿をキープする保管技術が発達していますし、備蓄米の多くは精米前の玄米の状態で保管していますからね」
出どころがわからない米は危険
古米のおいしい食べ方などはあるのか?
「古いお米は新米に比べ、徐々に水分が抜けてモチモチ感やうまみが減ってしまうといわれています。多くのメディアでも報道されているように、古米を炊く際は浸水時間を普段よりも長くしたり、カレーやチャーハンなどにするといいといわれていますが、一理あるかと思います。ただ、古米でも古古古米でもきちんと保管したものであれば大きな違いはないと思います」(吉田さん、以下同)
Q2 安すぎるのはリスク お米の見極め方は?
古い米よりも気をつけるべき米があるようだ。
「'93年の“平成の米騒動”と呼ばれた米不足がありました。当時はまだ備蓄米という制度もできていなかったため、外国から輸入米が市場に出回りましたが、中には異臭のする変なお米もありましたね。出どころがわからないお米は、やはり危険だと思います」
吉田さんはお米マイスターとして、値段ばかりに関心が集まる風潮に心を痛めている。
「いわゆる“米どころ”でとれた高品質なブランド米を、安いのが売ってないから買わざるを得ないというので手にするのはもったいない。今回の騒動がお米との向き合い方を見つめ直すきっかけになればと願っています」
Q3 備蓄米でも解決せず今後の値段は再上昇?
現役農家は、この騒動をどのように見ているのか。静岡県浜松市で無農薬、無肥料のお米を作り「藤松自然農園」の代表を務めている藤松泰通さんに話を聞いた。
「小泉大臣の備蓄米放出は次の選挙を見据えたパフォーマンスに見えてしまいますし、米の価格高騰への根本的な解決に至らないと思います」
6月上旬時点で約100万トンあった備蓄米のうち、3回の入札を経て計61万トンを放出したと報じられている件に触れて、