林下詩美の父、“ビッグダディ”こと林下清志さんはベテランのプロレスファンでもある
林下詩美の父、“ビッグダディ”こと林下清志さんはベテランのプロレスファンでもある
【写真】林下詩美とビッグダディの父娘ショット、勢ぞろいした子どもたち

 番組放送当時、知らない人から指をさされて笑われたり、時には自宅にナイフが刺さった生肉が届いたりした(!!)こともあったという。

『こういう大人になっちゃダメだぞ』って、逆に教育として私たちに伝えてくれていました。お父さんは何でも楽しむ性格なので、変なものが届いても、『おい、こんなものが届いたぞ!』って楽しい雰囲気にかえてくれた」

 こうした経験が、「めったなことでは動揺しない、むしろトラブルを楽しめる心が育った」と、プロレスラーとしての精神的なタフさにつながっている─と詩美さんは話す。

きょうだいは父のすごさを十分知っている

「今でもお父さんの育て方に批判的な人はいますが、清志さんのすごいところは私を含め、きょうだいみんなが十分知っている。今でも家族とは定期的に会うし、父とともに私の試合を見に来てくれたりします」

 放送当時、「ソーメンとキャベツばかり食べさせて子どもがかわいそう」などといった声も寄せられたそうだが、現在マットの上で躍動する詩美さんの姿を見れば、ぐうの音も出ないはずだ。

強い身体に育ててくれて感謝です。案外、小麦粉とキャベツがよかったのかも(笑)。お父さんが注いでくれた愛情や教えは、すべてプロレスラーとして生きている。林下詩美に憧れてプロレスを始めた─そんな子と試合をするのが私の夢ですね

はやしした・うたみ 1998年、鹿児島県生まれ。ビッグダディこと林下清志の三女という触れ込みで女子プロレス団体「スターダム」に入団。2018年にデビューすると、同年のプロレス大賞新人賞受賞。'20年11月にワールド・オブ・スターダム王座初戴冠。'24年3月にスターダムを退団し、新団体「マリーゴールド」の旗揚げメンバーに。同団体のワールド王座王者としてV3中。

取材・文/我妻弘崇