主な違反項目として挙げられたのは、「施設内に禁煙表示がない(58.6%)」、「施設内に灰皿が設置されてしまっている(17.5%)」、「施設内にたばこの煙のにおいがみられる(15.8%)」の3点だった。
また、これとは別に、南アフリカの研究グループも2016年に、同国での屋内喫煙を規制する法律の遵守状況を調査し報告している。56のバーやラウンジ、レストランを対象に、受動喫煙防止の規則への遵守状況を調べたところ、遵守状況は極めて悪く、遵守していたのは1件(1.8%)にとどまった。分煙や喫煙所の設置などを含めた店舗の構造変更が進んでいなかったという報告がなされた。
喫煙ルールの遵守率は半数程度
2024年には、こうした世界の状況をまとめて報告した研究も発表されたが、喫煙コントロールの難しさを浮き彫りにする結果となった。14カ国の研究が統合的に分析したもので、受動喫煙防止法が守られていない状況は48%に上った。教育機関では比較的遵守率が高かったが、ホテル、飲食関連施設、職場では遵守率が低かった。
また、喫煙習慣が浸透する中で、「吸えない」というルールの徹底には限界があることも示された。
万博会場で見られたルール破りは、国際的にも共通した課題であるといえる。
後編では、こうした喫煙コントロールの成功例として、上海万博のケースを報告した海外研究に目を向けることにする。
<星良孝 ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト>
参考文献
会場内喫煙所の設置について(公益社団法人2025年日本国際博覧会協会)
https://www.expo2025.or.jp/news/news-20250625-03/
関係者の隠れたばこ発覚で「全面禁煙」から方針転換、万博会場2か所に喫煙所設置
https://www.yomiuri.co.jp/expo2025/20250626-OYT1T50053/
万博関係者の「隠れたばこ」横行…直撃に外国人スタッフ「喫煙所が遠すぎる」引火で爆発する危険性のメタンガスたびたび検出
https://www.fnn.jp/articles/-/868436
J Public Health Res. 2020;9:1747.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32874963/
Afr J Prim Health Care Fam Med. 2016;8:e1-6.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27380859/
Front Public Health. 2024;12:1354980.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38694973/
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https://www.expo2025.or.jp/news/news-20250625-03/
関係者の隠れたばこ発覚で「全面禁煙」から方針転換、万博会場2か所に喫煙所設置
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万博関係者の「隠れたばこ」横行…直撃に外国人スタッフ「喫煙所が遠すぎる」引火で爆発する危険性のメタンガスたびたび検出
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