特に好きな曲は『泣きたい夜に』だという。

「私って感情がまったく動かないんです。感情を動かすフリをしているというか。なので普段からぜんぜん泣けなくて、産声以外で泣いたことないって感じなんです。だけど『泣きたい夜に』という曲は泣けますね。よく部屋を真っ暗にして聴いています。真っ暗の中で《泣きたい夜に一人はいけない あたしのそばにおいで》って中島さんの声が聞こえると、私の止まりきった涙腺が刺激されて“自分って泣きたかったんだな”って再認識できるんです。中島さんの推し活をしながら自分の“涙活”もしてるんです」

 中島の歌には、ふさぎ込みがちな鳥居の心をほぐす力があるようだ。

「『うらみ・ます』も好きです。フラレた女性が男を恨み続ける曲なのですが、私ってこれまでの人生で恋をしたことがないので、失恋ソングとかは共感できないけれど、私も人を恨み続けながら生きているので心に響くんです」

鳥居も取り入れる「やってみ・ます」

 ところどころ仰々しい言葉を挟む鳥居だが、『うらみ・ます』という曲も《あんたのこと死ぬまで恨む》というフレーズを繰り返す情念の強い歌だ。

「歌詞中《やさしくされて唯うれしかった》と、爪でひっかいてドアにメッセージを書く場面があるんですが、文字数が多くて爪が折れちゃいそうですよね。

 曲のタイトルの“中黒”も強調されているみたいなところが好きで、私も人からやりたくないお願いをされたときに“やってみ・ます”って返信したり、生活に取り入れています

 ほかにも、食事に誘ってくれた友人に対して悪態をつきながら“うどん”をすするという『蕎麦屋』などがおすすめの曲だと語る鳥居。

「王道ですが『ファイト!』も好きですね。子どものころは鼓舞するような応援歌に聞こえましたが、最近では“闘いなよ”って中島さんから優しく促されている曲のように思えてきました。私にとって中島さんの歌は暗闇を照らす光というよりは、暗闇の中にいる私の隣に座って寄り添って包んでくれるように感じるんです」