店はすぐに“捜索ビラ”を作り、最寄り駅の駅前などで情報提供を呼びかけた。
オレが助け出してやった
「休みのスタッフも出てきて捜索に加わり、ボランティアや常連客も協力してくれました。遠方から駆けつけてくれた里親さんもおり、本当にありがたかったです。車の下などを懐中電灯で照らして捜してくれた人もいました」(同店の責任者)
やがて、4匹とも警察に無事保護されたことがわかり、引き取りに行った。周辺には交通量の多い道路が複数あり、事故に遭わなかったのが幸いだった。てつくんは内出血を起こしていたため病院に連れていき、治療などを経て回復したという。
鈴木容疑者の自宅周辺で聞き込み取材をすると「コンビニの前で何度か見かけた」(60代男性)などの目撃情報があり、共通するのは1人だったということ。
「うちの店には何度か来ており、直近は6月に来ました。いつも深夜0時直前に1人で来店し、すでに酔っていて、カラオケでわりと最近のJポップを歌い、30分くらい飲んで帰るんです。おとなしく飲んでいました」(荒川区内のパブの店主)
盗んだ犬をタクシーで連れていったのは、台東区にあるバーだった。事件当夜、店に居合わせた客が振り返る。
「黒いチワワ2匹を抱っこして店に現れ、お客さんたちから“カワイイ~”と、もてはやされていました。誰も盗んだ犬とは思いませんから、抱っこさせてもらったりして。不思議と犬はおとなしく、容疑者に懐いているようでした。いま振り返ると、午前0時を過ぎていましたから、犬は眠かったのかもしれません」
半袖シャツに牛柄の短パン姿。初対面でもタメ口でなれなれしかった。居合わせた客全員に社名と携帯番号のみを記した名刺を渡し「人材派遣やイベント企画を手がけている」と説明していた。そして、犬について語り始めた。
「“かわいそうな犬だから、オレが助け出してきた”と言い、座布団でくるんで寝かしつけようとしていました。“オレが大事にしてやっからな”と頭をなでたり、理由はわかりませんが“2匹一緒じゃないと絶対にダメなんだ”と話していました」(同・居合わせた客)
盗んだだけでなく“大事に”どころか結局、逃がして危険な目に遭わせたのだから言行不一致も甚だしい。