“憧れの人物”に近づくためのキーアイテムとなった「ラブブ」

MVの撮影現場で男性の腕に噛みついているBLACKPINKのリサ。相手役は坂口健太郎が務めていた(リサのレーベル『LLOUD』公式インスタグラムより)
MVの撮影現場で男性の腕に噛みついているBLACKPINKのリサ。相手役は坂口健太郎が務めていた(リサのレーベル『LLOUD』公式インスタグラムより)
【写真】「初LABUBU」とラブブを手に持つ観月ありさ

 まずラブブが流行した経緯から追っていこう。ラブブ人気の火付け役となったのがK-POPガールズグループBLACK PINKのタイ人メンバーであるリサ(28)だ。2024年、リサが自身のInstagramのストーリーでラブブを紹介したことをきっかけに、タイや欧米、東アジアなどへ徐々に人気が広がっていったとみられ、世界的歌手のレディーガガ(39)やリアーナ(37)も私物のバッグにラブブをつけている。

 こうしてラブブはファッション感度の高い人たちの間で、瞬く間にトレンドアイテムとして認知されていったわけだが、ラブブ人気の裏には、Z世代特有の意識が関連しているとみられている。9月4日付けの東洋経済オンラインの記事で、芝浦工業大学教授の原田曜平氏は、Z世代の意識について次のように語っている。

Z世代は、かつての若者のように“カリスマ的な存在”に一方的に憧れるのではなく、自分と感覚や立場が近い存在にこそ惹かれる傾向がある。SNS上で少しだけフォロワーが多い同世代のインフルエンサーや、クラスの中でちょっとオシャレなあの子といったような、“自分でもなれそうな”距離感の存在が、憧れの対象になっているのだ。》

 カリスマ的存在である著名なアーティストたちから、身近な存在であるインフルエンサーたちへと徐々に広まっていったラブブは、“持っているだけでおしゃれになれる”、“憧れのあの子も持っているから私も身につけたい”といったZ世代の心理を突いたトレンドアイテムとして人気を伸ばしていったと考えられる。

 しかも、ラブブは定価だと2000円弱で購入することができ、中高生でも手の届く範囲の値段であるため、簡単に“憧れの人物”に近づくことができる。ラブブを所有することが一種のステータスとなったことが、爆発的に売れた理由の一つではないだろうか。