違いを当たり前と思える社会へ

 同じアルビノの子どもを持つ家族からの反響も多い。

「誰にも相談できずにいた方から、“悩みを話せる人をやっと見つけました”という声をいただくことも。私自身、悩みを抱え込み、いろいろ知りたいと思っていたので、りっくんの姿を通して、少しでも悩みが減り、安心につながればうれしいですね」

 今では、SNSをきっかけに、アルビノの当事者や、その家族同士の交流にもつながっている。

 SNSを始めて約5年。りっくんの成長を、わが子のように見守るフォロワーも少なくない。小さかった男の子は小学生になり、やんちゃ盛りだ。紫外線に弱いため、外に出るときは日焼け止めが欠かせないが、塗らずに半日以上出かけてしまったことも。

「腕から足や膝の裏まで真っ赤に腫れてしまい、ひと晩中、保冷剤で冷やしました。痛みは1日半、赤みは4日間くらい続いてしまって……。でも、面倒くささが勝っちゃうんでしょうね。懲りずに塗らないことが多いので、友達にも状況を伝えて、自然に配慮してもらえるようにしています」

りっくんを中心に撮影した家族との写真。右上が母の憂さん
りっくんを中心に撮影した家族との写真。右上が母の憂さん
【写真】生まれたときから白髪…生後間もないアルビノのりっくん

 私生活で気を使うのは、紫外線だけでなく目も。視力は0.1ほどしかないため、教室では席はいちばん前。視野が狭く、黒板やプリントの見えにくさはあるが、タブレットを使用し、文字を拡大したり、ルーペを活用するなど、学校側も協力し、りっくんの小学校生活を支えてくれている。

 弱視の程度によっては、公的な支援やサービスにつながる、障害者手帳の対象になる。しかし、子どもは成長に伴い状態が変わるため、りっくんの場合は、まだ判定が下せないのが現状だ。

 大家族の中でのびのびと育つ、りっくん。家族が大好きで、なんでも一緒にしたがり、和を大切にする性格。家では、上の兄姉には甘える一方、下の2人の妹には面倒見のよいお兄ちゃんだ。

 りっくん自身は、アルビノであることをどう感じているのだろうか?

「幼稚園のころに、初めて“なんで髪が白いの?”と聞かれました。そのときは“生まれたときから白いんだよ。人はみんな違っていて、当たり前なんだよ”と答えました」

 今は白い髪や、青い目の色が好きだというりっくん。

「見た目に関して、本当に気にしていないみたいです」

 憂さんをはじめ、家族がアルビノをひとつの個性と捉えているため、りっくん自身も他者との違いを自然に受け止めているようだ。

「母として、りっくんは大切な息子で、アルビノであってもなくても、ほかの子どもと同じ、かわいい存在です。アルビノであることも含めて、丸ごと愛おしいです。彼の見た目は強みであり、個性であり、彼そのもの。

 周囲にもひとりの人間として受け止めてもらえればと思います。将来は、好きなことを見つけて、自分らしく生きてほしいです。家族としてそれを応援していきたいと思っています」


取材・文/小林賢恵