勝利したとしても前途多難

 敗北した進次郎氏を専門家はどのように見ているのか。政治ジャーナリストの青山和弘さんに聞いてみた。

「前評判では、進次郎さんを支える中堅ベテラン議員がたくさんおり、自民党全体でチームを作りやすく、野党との交渉も進めやすいということから、党員票で多少遅れをとっても優勢と見られていました」

 しかし、仮に進次郎氏が勝利したとしても前途多難だったようだ。

「今回の総裁選に出た候補者全員に言えることですが、候補者それぞれの独自色、やりたいことが伝わりませんでした。現在の自民党は少数与党のため、強く打ち出せないというのもあるのでしょうが、それを言い訳にしていては、今後の選挙で勝てませんし、前任の石破茂さんのように長期政権を作れないでしょう」(青山さん)

 政治評論家の有馬晴海氏も進次郎氏の不安要素を指摘した。

「最近の自民党は、裏金問題や旧統一教会との親密な関係を疑われるなど“インチキ臭さ”が払拭できていませんでした。それらを受けて自民党は再出発を掲げたはずなのに、進次郎さん自身がステマ問題のような新たな疑惑を作ってしまったのは致命的。彼は今回の総裁選で“解党的出直し”と語って党の抜本的な改革を目指していましたが、仮に進次郎さんが勝利したとしても、実現は難しかったでしょう」

 日本初の総理大臣になるべく着々と役員人事を進める高市新総裁。進次郎氏は再び総裁を目指すか、それとも――。