2025年10月21日、恒例の総理官邸内の階段で写真撮影を行う高市内閣メンバー
2025年10月21日、恒例の総理官邸内の階段で写真撮影を行う高市内閣メンバー
【写真】官邸階段での撮影後、オジサン議員に取り囲まれる小野田紀美大臣

 高市首相の誕生により女性としての新しい政治が期待できるのか。男女共同参画会議専門調査会委員を務めるなど、女性の社会問題に取り組んでいるジャーナリストの白河桃子さんに話を聞いた。

「高市さんは保守系の政治家とあって、伝統的な価値観、つまり従来の女性の役割を意識しているように見受けられます。例えば、彼女の夫である元衆議院議員の山本拓氏は今年に入って脳梗塞を発症。普段の生活で介護が必要なようですが、高市さんは総裁選中でも自身で夫のサポートをしていたそうです」

 白河さんは高市首相自身が女性として障害を乗り越えてきたことに期待と不安があると語る。

“選択的夫婦別姓”には反対

「ケア労働の低賃金が問題になっていますが、このような風潮は、かつて介護は身内、特に女性が無償でやるものという価値観から来ています。

 高市首相は40代前半から更年期障害を発症したと語るなど、女性特有の負担への実感値は歴代の首相に比べれば大きいと思いますから、精力的に取り組んでほしいです。

 しかし、高市首相はそれらのハンディを背負いながら男社会でのし上がってきた人。“自分ができたから”とはならず、乗り越えられないような市民にも寄り添える政策を行ってほしいです」(白河さん、以下同)

 高市首相の政治信条は、女性の権利拡大や多様性を訴える“リベラル”寄りの考えと相反するようだ。

「最近は、結婚後も夫の名字に改姓せずに済む“選択的夫婦別姓”の議論が活発でしたが、高市首相自身が反対していますから、実現は遠のくでしょう。ほかにも、若い女性の貧困問題、子育てにまつわる負担など、取り組まなくてはいけない問題は山積みですが、正直、今の高市首相にそれらの課題に手が回るようには思えません」