高市首相の“外交センス”

 実際、ボリッチ大統領は自身のX(旧ツイッター)に該当の映像を投稿し、

《チリを代表して、同国史上初めて女性がこれほど高い責任を担うことになったことに対し、お祝いの意を伝えました。日本とは、アジア太平洋地域の発展に向け、私たちの共有する価値観を基盤として引き続き緊密に協力していく所存です》

チリのガブリエル・ボリッチ大統領の右側から、奥の左肩に手を添えるように軽く身を寄せ、笑顔を向ける高市早苗首相(ボリッチ大統領のXより)
チリのガブリエル・ボリッチ大統領の右側から、奥の左肩に手を添えるように軽く身を寄せ、笑顔を向ける高市早苗首相(ボリッチ大統領のXより)
【写真】超至近距離…チリ大統領の肩に手をまわして目を見つめる高市首相

 と、前向きなコメントを残している。

 SNSでも《日本的な遠慮ではなく、相手に合わせる柔軟さが素晴らしい》《予習していたに違いない》《尊敬する》など、称賛の声が次々と投稿された。

 これまでも高市首相は、海外でのスピーチや会談の際に流暢な英語で発信し、ジェンダーやAIなど国際的なテーマに積極的に発言してきた。「強い女性リーダー」という印象のある彼女だが、今回のように“柔らかく、温かい”一面を見せたことで、「親しみを感じた」「相手を気遣うリーダー像が伝わった」と、より多くの支持を集めている。

「外交は言葉以上に“空気の読み方”が大切です。相手の文化を理解し、相手のペースで距離を詰める。その繊細なバランスを取れる人は多くありません。高市首相はまさに、そのセンスを発揮したと言えます」(前出・国際政治アナリスト)

 “距離感が近い”と話題になったその一瞬が、実は国と国をつなぐ“心の距離”を縮めていたのかもしれない。高市首相の一挙手一投足が、令和の外交スタイルを新たなステージへ導こうとしている。