星一徹もアウト!?

 ドイツを例に挙げると、ドイツ連邦内務省と連邦刑事庁の発表によれば、2024年には1万6000件を超える児童性的虐待事件が当局に報告されているほどです。まじめというイメージがあるドイツでさえ、この数字ですから、欧州全体の児童性的虐待は私たちの想像をはるかに超えるということ。

 児童虐待を助長したり、喚起したりするような行為や表現は厳しく処罰されるため、たとえそれがAIであろうがマンガ(アニメ)であろうがNGというわけです。マンガの中で、大人が子どもを殴るような表現はできませんから、極端なことを言えば、マンガ『巨人の星』の星一徹は、ヨーロッパでは児童虐待事件の加害者になってしまうのです。


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「子どもは社会の宝」だけど、日本の価値観とはあまりにも違うようで……※写真はイメージです

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【写真】昭和のころとは大違い!! 今はNGの“虐待行為”

 もちろん、今の日本でもそうした旧時代的な価値観を押しつけるような表現はよろしくないでしょう。ですが、「少女たちを集めて半裸のような格好で踊らせる」という設定や、「貧しい環境を描くために子どもに酷なことをさせる」といった表現も、ヨーロッパではアウトになる可能性があるのです。

 ヨーロッパには、こうした点を把握したうえで渡航することをおすすめします。日本の電車の中で美少女アニメを見るような感覚は、日本の保安検査所に捨ててきてください。

谷本真由美 たにもと・まゆみ 1975年、神奈川県生まれ。著述家。元国連職員。ITベンチャー、コンサルティングファーム、国連専門機関、外資系金融会社を経て、現在はロンドン在住。X上では、「May_Roma」(めいろま)として舌鋒鋭いポストで人気を博す。著書に『世界のニュースを日本人は何も知らない』シリーズ(ワニブックス【PLUS】新書)など著書多数。
谷本真由美 たにもと・まゆみ 1975年、神奈川県生まれ。著述家。元国連職員。ITベンチャー、コンサルティングファーム、国連専門機関、外資系金融会社を経て、現在はロンドン在住。X上では、「May_Roma」(めいろま)として舌鋒鋭いポストで人気を博す。著書に『世界のニュースを日本人は何も知らない』シリーズ(ワニブックス【PLUS】新書)など著書多数。