食事と運動の「新常識」!今日からできる簡単対策

 血糖値やHbA1cの改善には、食事と運動の見直しがマスト。

「まずは食事。血糖値を上げやすい炭水化物は、量を制限することが大切です。ご飯を半分~2/3杯に減らしたり、パスタやピザ、ラーメンや牛丼など炭水化物に偏りがちな外食を減らす努力を」

“食べ順”も大きなポイント。

以前は野菜を先に食べるベジファーストなど、先に食べるものに言及していましたが、最近は“カーボラスト”といって、カーボ=炭水化物を最後に食べることを明確に強調しています。

 白米や麺などを食事の最後にとることで、食後の血糖値の波を大きく下げることがわかっているのです」

 早食いも血糖値を上げやすいので、最低でも15分かけて食事をする習慣を。

血糖値の上昇を防ぐ食品としては、ブロッコリー、舞茸、無糖ヨーグルト、飲料では桑の葉茶やルイボスティーなどが挙げられます。

 また、HbA1cの低下をサポートする機能のあるヨーグルトが登場するなど、血糖をコントロールするさまざまな機能性表示食品が出ています。HbA1cは中長期的な指標なので、普段の食品をこれら血糖コントロールに効果のあるものに置き換えるとムリなく続けやすいと思います」

 次に、運動のポイント。

「身体を動かすなら食後がイチ押し。食後は血糖値が上昇しやすいので、軽めの有酸素運動を行うと血糖を消費してくれます」

 長期的に上がりにくい体質にするには筋肉の維持も有効。

ウォーキングや踏み台昇降、スロースクワットなどを目安として1日15分行いましょう。運動は、即効性があって長期的にも血糖値を下げる働きがあるので、5分でも10分でもいいから、取り入れてほしいですね

 年齢が上がるにつれて血糖値も上がりやすくなるため、血糖コントロールは一生続くテーマとなる。

「継続のためにもぎちぎちに制限するのではなく、適度な息抜きは必要です。血糖値が上がりやすい食べ物を知って、食べ順を変えるだけでもいい。自分に合ったものを1つか2つ取り入れて、ムリなく継続しましょう」

※本記事では生活習慣によって発症する「2型糖尿病」について解説しています

矢野宏行先生●糖尿病専門医。「やのメディカルクリニック勝どき」院長。これまで3000人以上の血糖値を改善へと導いた実績から“ミスター血糖値”の異名を持つ
矢野宏行先生●糖尿病専門医。「やのメディカルクリニック勝どき」院長。これまで3000人以上の血糖値を改善へと導いた実績から“ミスター血糖値”の異名を持つ
【写真】3つ以上当てはまる人は注意!糖尿病リスクCHECK

お話を伺ったのは……矢野宏行先生●糖尿病専門医。「やのメディカルクリニック勝どき」院長。これまで3000人以上の血糖値を改善へと導いた実績から“ミスター血糖値”の異名を持つ。著書に『7日間でひとりでに血糖値が下がるすごい方法』(アスコム)など。

取材・文/荒木睦美