「喉の筋肉は声を出すときだけでなく、食べ物を飲み込むときにも使います。これを嚥下(えんげ)機能といいますが、高齢になると筋肉が衰えて誤嚥(ごえん)しやすくなる。食べ物が食道ではなく気管に入って、窒息したり、ウイルスが肺に入って肺炎を起こしたりします。
でも、歌で喉の筋肉を鍛えていると誤嚥しなくなる。楽しく歌って誤嚥予防にもなるなんて一石二鳥ですよね」
喉の筋肉は使わなくなると劣化する。一人暮らしなどで人と話す機会が減ると、嚥下機能が低下するといわれる。
「友人や家族とカラオケに行って歌えば、脳が活性化して認知症予防にもなる。エネルギーを使うので、やせる人もいます。歌うことは健康維持にもつながって、いいことずくめです」
歌がうまくなると自己肯定感が高まる
歌うメリットは、健康維持だけではない。精神面でも大きな変化がある。
「ボイトレをすることで、自己肯定感が高まります。以前の私は自分の声が嫌いでしたが、歌うようになって変わりました。
練習すれば歌は必ずうまくなるのですから、自分に自信が持てるようになる。それが自己肯定につながります。今は自分の声が好きだし、人生が楽しくてしかたがありません」
ボイトレをして声が高くなると、思わぬ“いいこと”もあるという。
「気づいたら、自分の声が信じられないくらい、よく通るようになっていたのです。
ガヤガヤしているレストランで店員さんを呼ぶとき、低めの声だとまわりの雑音に紛れて声が届きません。でも私が呼ぶと、店員さんがすぐに来てくれるんです(笑)」
歌がうまくなり、好きな歌を上手に歌えるようになると単純に気持ちいい。それは、日々を豊かに楽しくしてくれるものであると、たけば校長は言う。
「年を重ねても無理なく発声できて、嚥下機能などの健康を保ちながら一生歌い続けたいと思っています。歌が生きる力になると信じています!」











