冬至に食べたほうがいい食べ物
ただし、冬至とかぼちゃが結びついた理由は、実用面だけではない。
もう一つ、日本人らしい縁起担ぎが隠れている。かぼちゃは“なんきん(南京)”とも呼ばれるが、名前に「ん」が2つつく食べ物は「運がつく」との考えから、運気上昇の縁起物として扱われたのだ。
さらに、かぼちゃの鮮やかな黄色やオレンジ色は太陽の象徴。太陽の力が弱まる冬至にこそ“陽の気”を取り入れる意味があると信じられたそう。
冬至の食文化は地域によってさらに広がりを見せる。
特に広く知られているのが 小豆を使った料理だ。かぼちゃと小豆を煮た「いとこ煮」、あるいは小豆入りの「冬至粥(がゆ)」など、冬至メニューはバリエーションが豊富。
「小豆の赤い色は、古くから“魔除(よ)け”とされてきました。かぼちゃで“運を呼び”、小豆で“厄を払う”。この2つを組み合わせることで、冬至の食卓にはより強い願いが込められていったそうです」
さらに、冬至には“ん”のつく食べ物を食べる「運盛り」という習慣もある。
かぼちゃのほか、れんこん、にんじん、ぎんなん、うどんなど「ん」がつく七種(くさ)は、春の七草になぞらえて“冬至の七種”とも呼ばれ、運を呼び込む食材とされてきた。
「ただし、こうした語呂合わせは俗説的なもので、実際には保存性や栄養価といった生活の知恵が先にあり、後から縁起担ぎの意味づけが広がっていったとみられます」
冬の寒さが本格化するこの時季、自然のリズムに寄り添って暮らしてきた先人たちの知恵が、かぼちゃ料理という形でいまも残っている─そう考えると、冬至がぐっと身近に感じられるはずだ。
食べ物だけじゃない!冬至にゆず湯に入る理由って?
冬至にゆず湯に入る理由には、古くからの“厄除け”と“健康祈願”の意味が込められている。ゆずの強い香りには邪気を払い、清めの力があると信じられ、冬至という一年で最も昼が短く陰の力が強まる日に、運気を切り替えるための習わしとして広まった。
さらに、ゆずは「融通がきく」に通じる語呂合わせから縁起物として扱われてきた。果皮に含まれる精油成分は血行を促し、身体を温める作用があるため、寒い季節の冷えや風邪予防にもうってつけだ。











