グレーゾーンのスキーム

「形式上、一般社団法人の理事数に法的な上限はなく、報酬額の設定も法人の裁量に任されているため、直ちに違法と断定することは難しいグレーゾーンのスキームです。しかし、660人もの理事が実質的な経営参画をしているとは到底考えられません。

 彼らが安く済ませた保険料の不足分は、税金や他の加入者の保険料で補填されています。公的な立場にある政治家やその関係者が、社会保障の財源を荒らすような仕組みを主導、あるいは看過していたとすれば、政治的・道義的責任は重いのではないでしょうか」(政治部記者)

 追及を受けた吉村代表は17日、調査の結果、栄響連盟の理事に維新所属の兵庫県の地方議員4人が名を連ねていることを認め、理事としての勤務実態があったかどうかなどを調査する方針を示した。

 維新はこれまで、議員定数の削減や報酬カットなど、厳しい姿勢を示すことで支持を拡大してきたが、「もう維新は今後、政治とカネの問題に触れられなくなった」と失望の声があがっているほどだ。

「身を切る」はずの刀が、いつの間にか国民の負担を切り捨て、身内の利益を守るために使われていたのではないか。徹底的な真相究明と説明責任が果たされない限り、広がった政治不信の炎が消えることはないだろう─。