成瀬シリーズを書き切った今、宮島さんは本作をどのように捉えているのだろうか。

1作目はとにかく必死で書き、2作目のときは、“このアイデアは次に取っておこう”という思考がちょっとだけありました。今回は出し惜しみせず、今、持っている力をすべて注ぎ込んだという実感があります

健康のありがたさを実感

 多くのファンを持つ成瀬シリーズだが、宮島さんには少々、不思議に思うことがあるそうだ。

たくさんの人に成瀬を好きになってもらえて、本当にありがたいと思っています。ただ、私自身、いろいろな小説を読む中で、“成瀬よりも面白い作品がたくさんあるのになぁ”と思うこともあるんです。本作で成瀬シリーズは終わりますが、成瀬をきっかけにほかの小説も楽しんでいただけたら、小説家としてとても幸せです

最近の宮島さん

「200歳まで生きることを公言して健康的な生活を送っている成瀬ほどではないのですが、私も健康には気をつけていまして、YouTubeの動画を見ながらストレッチやエクササイズを毎日1つはやるようにしています。

 基本的に健康体なのですが、この取材の1週間ほど前に体調を崩してしまいまして……。健康のありがたさを実感している今日このごろです」

宮島未奈著『成瀬は都を駆け抜ける』(新潮社)
【写真】いつか映像化してほしい!人気の『成瀬』シリーズ完結編

取材・文/熊谷あづさ

宮島未奈(みやじま・みな)/1983年、静岡県富士市生まれ。滋賀県大津市在住。京都大学文学部卒業。2021年、『ありがとう西武大津店』で第20回「女による女のためのR-18文学賞」大賞、読者賞、友近賞をトリプル受賞。2023年、同作を含む『成瀬は天下を取りにいく』でデビューし、第21回本屋大賞ほか数多くの賞を受賞。ほかの著書に『成瀬は信じた道をいく』『婚活マエストロ』などがある。