アメリカで裁判をしたかった人はほかにもいるのでは、と田中さんは推測する。
「ジャニー社長と一緒にアメリカに行ったことのある、売れていた子たちから順に補償金にサインさせたのが、彼らの戦略だと僕は思っています。SMILE社は、すごいスピードで補償金を払っており、アメリカで訴訟をしたくてもすでにサインをしているので、できないのです」
こうした一連の対応に関しては、違和感を感じるという。
「なぜ被害者が訴えられなくてはならないのか、今でもわかりませんが、“お前が悪い”とファンの人たちから誹謗中傷が大量に来ます。でも、そもそも悪いのは、当時のジャニー社長と幹部たちなのではないでしょうか。被害者に許された唯一の手段が訴えを起こすということであり、それさえもこのように圧力でフタをされてしまうと、勇気を出して訴えたいという人が出てこられなくなってしまう。これは人権侵害でもありますし、誹謗中傷で亡くなった子もいます」
「ジャニーの痕跡なくしたい」の矛盾
STARTO社とSMILE社に対して、田中さんはこのように求める。
「嘘をつかないでほしいです。STARTO社は“私たちは旧ジャニーズ事務所とは別々だ”と主張していて、ジュリー社長も会見で“ジャニーの痕跡をいっさいなくしたい”と話していましたが、テレビでは後輩が先輩たちの曲を堂々と引き継いでいます。そこに不満はありませんが、“ジャニーズと別々”というのは矛盾していますよね」
時がたち、忘れ去られつつある現状についても、不信感を抱いている。
「私が国連の人権フォーラムに出たことも、裁判のことも、どこか映像メディアが報じましたか? 圧力や忖度で“掘り返すのはやめておこう”というのが現状で、それを変えるのは僕らでは難しいのかもしれません。でも、誰かが声を上げ続けていかないと、何も変わらない」
取材の終わりに、田中さんはSTARTO社の問題点を強く指摘した。
「旧ジャニーズ事務所は、子どもたちが助けてほしいという声を見て見ぬふりをした。“それが当たり前だよ。よかったじゃん”という人までいた。見殺しにしてきた大人たちが、“私たちは関係なく、ジャニーだけが悪かった”と言ってSTARTO社を作って、みんなそちらに移籍して、それは罪ではないのかと。そんな人たちが、今でも子どもたちを扱っているんです。彼らは子どもにいっさい関わってはいけない」











