生きていれば、怒りや悲しみを感じたり、誰かと比べて嫉妬をしたり恨んだり……と、心が後ろ向きになってしまう瞬間はあるもの。
『心の大掃除』が必要
「天風先生は、『負の感情を持ってはいけない』と否定するのではなく、怒ったり悲しんだりしたとしても、それを引きずらず『その瞬間』だけの感情にとどめることが大切と教えます。感情に執着して抱えたままでは、心はどんどんネガティブになってしまうからです」
そこで、マイナスな思考を一瞬で切り替える具体的な方法がこちら。
「例えば、怒りや悲しみに襲われたときは、それらが新幹線の車窓の景色のように、後ろに流れ去っていくイメージをします。あるいは、胸元のスイッチをカチッと押して負の感情を消すイメージをしてもいい」
自分なりのやり方でいいので、心がブレたときのルールにして、それを習慣にする。
「最初は難しくても、繰り返すうちに次第に感情に引きずられにくくなります。ただ、それでもネガティブなループから抜け出せないときは『心の大掃除』が必要です」
「心の大掃除」とは、潜在意識の中に蓄積された「消極的な感情のもと」を排除すること。特に年齢を重ねるほど、長年の思考のクセでそれがたまりやすくなっているという。例えば、終わりの見えない家族の介護に疲れ切っている女性の場合。
「介護という過酷な現実は、すぐには変えられないかもしれません。でも、ずっとネガティブな心境でいると心の倉庫は『消極的な感情のもと』でいっぱいになって、介護をしていない時間までマイナスの感情に支配されてしまいます。そこで、たとえ嘘でも“私は幸せ”“あなたは最高に幸せになる”と自己暗示をかけ続けるのです。すると驚くほど心が前向きになっていきます」
この自己暗示が心の大掃除になる。また、孤独を感じている人には、理想や生きがいを持つことをすすめている。
「陶芸や手芸など小さな趣味でいい。特に『何かを生み出す創造の生活』を始めると、心の活性化やアンチエイジングにつながります」
さらに、後ろ向きな言葉が浮かんだら、すぐ「……とは思わない!」と打ち消す。あるいは嘘でもいいから笑ってみる。この繰り返しが心をポジティブにしていくのだ。
「心の持ちようを変えるだけで、どんな環境でも幸せを感じられるようになります。前向きになると、心が楽になって自然と笑顔が増える。すると周囲に助けてくれる人が集まってきて、現実も少しずついいほうに好転し始めます」
今回紹介する具体的な実践法を習慣にして、幸せな人生を踏み出そう。
取材・文/荒木睦美
堀田孝之さん ライター、編集者。中村天風最後の弟子、合田周平氏との書籍執筆を機に天風哲学の真髄を学ぶ。近著『中村天風 人生の「主人公」になる教え』(主婦と生活社)では、現代特有の悩みを手放す考え方や天風考案の実践術を、イラストとともにわかりやすく解説している












