河島英五さん自身も大の相撲好きだったという。
「父の歌を安青錦さんのような若い世代が愛してくれているのですから、天国の父も喜んでいると思います」(河島あみるさん)
大関になっても大部屋で修行中
誰からも愛される安青錦だが、普段はどのような人物なのか。安治川部屋の後援会にも入っており、“游刻家(ゆうこくか)”として活動している長坂ビショップ大山氏に話を聞いてみた。
「私は日本の伝統的な篆刻(てんこく)を、もっと自由で現代的な刻印にしていきたいと考え、自ら“游刻”と呼ぶ印字を創作する活動をしています。安治川親方が現役を引退する断髪式に合わせ、関係者から記念印の制作を依頼されたのが始まりです。親方が私の作品を大変気に入ってくださり、交流するようになりました」
親方が独立して部屋を構える際の看板制作も任された長坂氏は、続けて安青錦の游刻を作ることに。
「安治川部屋と打ち合わせをしながら作っておりましたが、その際、調整前の“未完成”の状態でお見せしたところ、親方から“安青錦はどこまで行っても発展途上だから”と言って気に入ってくださり、あえて完成させないものが採用されたのです」
日本中から注目を集めるようになった安青錦だが、その軸がブレることはないだろうと長坂氏は語る。
「安青錦さんは優勝してもストイック。稽古中は冗談を言っても笑いませんし、今でも稽古漬けの日々。番付が上がった弟子は個室を与えられたりするのですが、安青錦さんはそれを拒んで今も大部屋で修業を続けていると聞いています。おごらない強さを求めている彼ですから、今後ますます強くなるのではないでしょうか」
謙虚に相撲道を突き進んでいる安青錦。今はまだ、後の世に語り継がれる“序章”なのかもしれない。
やくみつる 漫画家。1981年に『がんばれエガワ君』でデビュー。テレビやラジオ番組のコメンテーターとしても活躍。角界ニュースを追う好角家としても知られている
長坂ビショップ大山 元婦人画報社編集者。退職後、篆刻から着想を得た独自のオリジナル印「游刻」アーティストとして活動。依頼主の個性を踏まえて生み出す刻印は、各界にファンを持つ











