p.p1 {margin: 0.0px 0.0px 0.0px 0.0px; text-align: justify; font: 11.5px Helvetica} 死を覚悟し遺書を残すも移植後はスピード回復

 8月に入院し、寛解導入療法は、一日おきに3回点滴で行われた。使用したのは近年日本でも承認された薬剤で、副作用は人によって異なるが、森田さんは38度を超える発熱が6日間続き、強い疲労感や下痢があったという。

「毎夜、明日は生きて目覚めないかもしれないと考えてしまい、家族に遺書のような手紙を書いたり、スマホでビデオメッセージを撮ったりしていました」

 つらさはあったものの薬の効果は高く、9月には一時退院。1回の初回寛解導入療法で寛解となった。それでも移植は必要なため、同じ薬で量を少なめに投与する地固め療法を経て、11月に息子さんからのハプロ移植が行われた。

「息子の一人がドナーに決まって、ウイルス感染などのリスクを避けるために夏休みの海外旅行をキャンセルしたり、禁酒もしてくれました」

 移植の日程が決定し、ドナーの末消血幹細胞採取が行われ、森田さんは移植の前処置として10日ほど前から抗がん剤投与や放射線照射を受けた。

「この治療によって、自分自身の造血機能がなくなるため、僕はウイルス感染しやすい状態になります。もしこのタイミングでドナーが何かしらに感染してしまうと、移植提供ができなくなるので、息子は非常に緊張しながら日々を過ごし、大変だったと思います。家族全員で頑張ってくれました」

どんなときも森田豊さんを支えてくれた奥様と。「涙ひとつ見せず、しっかり支えてくれた妻に、感謝でいっぱいです! 僕が白血病患者の希望になれるよう頑張ります!」撮影/佐藤靖彦
どんなときも森田豊さんを支えてくれた奥様と。「涙ひとつ見せず、しっかり支えてくれた妻に、感謝でいっぱいです! 僕が白血病患者の希望になれるよう頑張ります!」撮影/佐藤靖彦
【写真】息子から採取した細胞で…「ハプロ移植」を受けた森田さん

 そのかいあってついに迎えた移植では、ドナーとなった息子さんの血液は幹細胞の数が非常に多く、通常移植に用いる細胞数の約2倍あったという。おかげで移植後、短期間で生着。移植から退院までは1か月半から2か月要するといわれていたなか、移植後18日目にスピード退院となった。

 退院後も、感染症対策や合併症予防のため、生魚や発酵食品の摂取を避けるなど、ある程度生活に制約はあるものの、移植後2か月が経過した取材時に元気な様子を見せてくれた森田さん。経過観察を行いつつ1年乗り切れば、3年、5年後もほぼ命を落とす心配はなくなる。

「家族、医療スタッフ、SNSを通じて激励してくださった多くの方々に感謝しかありません。ただ、治療効果を高めた一番の要因は、自分自身が生きよう、必ず歩いて家に帰るぞと意欲を持てたことだと思うのです。ですから、いま病気と闘っている方も、どんな状況でも諦めないでほしい。白血病は不治の病ではないということを、僕が“代表”となって証明していきたいと思っています」

もりた・ゆたか 医師・医療ジャーナリスト。秋田大学医学部、東京大学大学院医学系研究科を修了、米国ハーバード大学専任講師を歴任。現在は現役医師として診療に従事し、医療ジャーナリストとして、各種メディアで医療解説や医療監修、情報番組のコメンテーターを務めるなど幅広く活躍。撮影/佐藤靖彦
もりた・ゆたか 医師・医療ジャーナリスト。秋田大学医学部、東京大学大学院医学系研究科を修了、米国ハーバード大学専任講師を歴任。現在は現役医師として診療に従事し、医療ジャーナリストとして、各種メディアで医療解説や医療監修、情報番組のコメンテーターを務めるなど幅広く活躍。撮影/佐藤靖彦
もりた・ゆたか 医師・医療ジャーナリスト。秋田大学医学部、東京大学大学院医学系研究科を修了、米国ハーバード大学専任講師を歴任。現在は現役医師として診療に従事し、医療ジャーナリストとして、各種メディアで医療解説や医療監修、情報番組のコメンテーターを務めるなど幅広く活躍。

取材・文/當間優子