そのため、ビジネス街や繁華街の数少ない喫煙所には連日長蛇の列ができ、パーテーションから人が大きく溢れ出している。昼休みや夕方の時間帯には、喫煙所に入りきれない人々が周辺の路上でたばこを吸わざるを得ない状況が常態化している。
さらに深刻なのが、街頭の灰皿を次々と撤去したことによる弊害だ。「捨てる場所」を奪われた結果、街の至るところで吸い殻のポイ捨てが激増。それも、きちんと火を消さないまま排水溝や植え込みに投げ捨てられるケースが後を絶たない。地元住民からは「いつか大きな火事になるのではないか」「夜回りをして吸い殻を拾っているが、もう限界だ」と、悲鳴にも似た声が上がっている。
吸う場所を確保しないままの強引な規制は、喫煙者だけでなく、非喫煙者の生活をも脅かす結果となっているのだ。
横浜市から返ってきたのは驚きの回答
それなりの予算と時間と労力をかけて準備した大阪市ですら、ここまでの混乱を招いている。対して、1年前というタイミングで「屋外の公共の場所(路上等)での喫煙の全面禁止」の決定を下した横浜市はどうなるのだろうか。市内全域での禁止は検討が進む一方、喫煙所整備の“市の直接整備”の全体像は見えにくい。
行政課題や社会課題に関する独自調査・分析を行う政策研究シンクタンク、「プランワークス政策研究所」は、横浜市内全域で路上喫煙禁止にした場合、必要な喫煙所数を614か所と試算している。
そこで週刊女性PRIMEは、横浜市の担当部署(資源循環局家庭系廃棄物対策部 街の美化推進課)に対し、路上喫煙禁止の実施に向けた具体的な準備状況について書面にて取材を行った。
まず、「実施にあたっての喫煙所整備は検討しているか。予算額や設置の数的目標はどのような形か」という質問に対する市の回答はこうだ。
《現在、市内には8つの喫煙禁止地区を設けており、喫煙禁止の実効性を確保するために禁止地区内に喫煙場所の確保(パーテーションで仕切られた開放型の喫煙所)しています。
まずは、受動喫煙対策として、喫煙禁止地区にある、既設の喫煙所の密閉化を進めます。
また、民間物件の空テナント等を活用し、民間事業者が喫煙所を整備する際に整備費や運営費を補助する制度を運用します。
現時点では喫煙禁止地区以外の場所への喫煙所を整備する計画はありませんが、既設の民間喫煙所の場所をご案内する喫煙所マップを横浜市ホームページ内に開設し、指導や案内を行う際に活用する予定です。 なお、具体的な喫煙所の整備目標数値は現在設けておりません》
8つの喫煙禁止地区とは、横浜駅周辺地区、みなとみらい21地区、関内地区、鶴見駅周辺地区、東神奈川駅周辺地区、新横浜駅周辺地区、戸塚駅周辺地区、二俣川駅周辺地区のこと。
市は市内全域での禁止を検討する一方、現時点で示されている直接対応は現在指定されている「8つの禁止地区内」にある既存喫煙所の改修のみ。それ以外の広大な横浜市域に対しては、「現時点では喫煙所を整備する計画はない」という。
しかも、「現時点で整備目標数値は現在設けておりません」。つまり、どこに、いくつ喫煙所が必要なのかという全体像の把握すらしていないのではないだろうか。
《令和8年度予算額は、密閉型喫煙所の整備費や民間喫煙所整備補助(整備費+運営費)、その他の喫煙所の維持管理費、喫煙所マップ作成費などの予算として、1億6818万円を計上しています》
民間事業者への補助金制度やマップの作成の予算は確保しているが、要するに「喫煙所作りは民間で」「吸いたい人は自分でスマホを見て探してほしい」というスタンスとも言える。











