「こんどはあなたが―」コーチから受け継がれる思い

 二人はその後のフリーで挽回し、見事金メダルを獲得。有言実行で個人戦でもバトンを繋いだ。

 また、五輪初出場の後輩二人にとっては、頼れるリーダー的存在でもあった。日本代表として行動をともにしてきた坂本、中井、千葉の3人は、一緒に選手村を散歩するなど「どこか行くときは基本3人」と語るほど固い絆で結ばれていた。

 坂本の滑りを目に焼き付けたという千葉はこう語った。

「ずっと感動しながら見てたというか、こういう忘れられないスケーターになりたいなって思いました」

 先輩の背中が、若い選手の心に大きな希望を灯したようだ。

鍵山優真選手、木原龍一選手、三浦璃来選手と一緒に記念撮影をする中井亜美選手と坂本花織選手(撮影/JMPA)
鍵山優真選手、木原龍一選手、三浦璃来選手と一緒に記念撮影をする中井亜美選手と坂本花織選手(撮影/JMPA)
【写真】フィギュア日本代表の「やかましい太陽」坂本の“悔し涙”が美しすぎる

 ともに表彰台に上った中井も「同じ表彰台に乗るっていうのは最初で最後だと思っているので、今回こうやって一緒に表彰台に乗れたことがすごくうれしいです」と、深いリスペクトの念をにじませた。

 そんな坂本と21年間ともに歩み続けてきた中野園子コーチは、フリー演技終了後、悔し涙を流す坂本にこう言葉をかけた。

「あたなが銀になったから、今度はあなたが五輪の金メダリストを育ててあげなさい」

 キャリアを糧にして、次は指導者としても大舞台を目指す。中野コーチから新たな使命が託された瞬間だった。

 仲間から坂本花織に贈られた名言たちは、彼女がこのオリンピックで残した功績の大きさを物語っている。これからも“やかましい太陽”としてフィギュアスケート界を明るく照らし続けてくれるに違いない。