そう話す彩瀬さんは、本作の中で書けてよかったと思う場面があるそうだ。

人生どんなときも『いいチャレンジだったね』

晶枝、啓和と死後の世界で出会う人のひとりが、『生まれるときって、だいたいいつもそうでしょう。危ないけれど、楽しみ』と話す場面です。“死ぬ”ことだけを考えると悲しく、怖いけれど、本来私たちは楽しい人生のために生まれてきて、チャレンジしながら生きている。だから、人生どんなときも『いいチャレンジだったね』と思っても、いい気がするんです

 死後の世界が描かれてはいるが、『みちゆくひと』は決して暗い物語ではない。

不思議な場面がたくさんありますが、違う世界をのぞいてみるような感覚で、楽しんでもらえたらうれしいです

最近の彩瀬さん

「仕事に疲れたときなど、料理を作ると脳が楽になるんです。原稿料が入ってお財布が豊かなときは、乾燥ポルチーニ茸と、いいベーコンを材料に、カルボナーラを作ったりします。普段はお豆腐などを喜々として食べていて、最近は、お豆腐にすりごまやみそを混ぜた白あえソースをマヨネーズ代わりにサラダにかけています。おいしいですよ」

『みちゆくひと』彩瀬まる 講談社 税込み1980円
【写真】ひとつの家族の喪失と再生を描き切った彩瀬さんの最新作

取材・文/熊谷あづさ

彩瀬まる(あやせ・まる) 1986年、千葉県生まれ。上智大学文学部卒。小売会社勤務を経て、2010年『花に眩む』で「女による女のためのR-18文学賞」読者賞を受賞しデビュー。2016年刊行の『やがて海へと届く』が映画化され話題に。『くちなし』『新しい星』で直木賞候補となる。そのほか著書に、『骨を彩る』『かんむり』など、東日本大震災の被災記『暗い夜、星を数えて―3・11被災鉄道からの脱出―』がある。