歴史に詳しくない人のために補足すると、この寧々の懸念は現実のものとなる。

「寧々には実子が授からず、のちに秀吉は茶々を側室に迎え、待望の跡継ぎ・秀頼が誕生します。しかしこれがきっかけで、豊臣家は『寧々を支持する古参の武将派』と『茶々を支持する官僚派』に真っ二つに割れ、のちの天下分け目の決戦『関ヶ原の戦い』へと繋がっていくのです。寧々の深い愛情が、豊臣家崩壊の火種になるという皮肉が早くも描かれたことで史実を知る視聴者が《エグすぎる…》などと投稿しました」

凄惨な未来を予感させる演出

 さらに、この日登場した他の子どもたちにも、血塗られた未来が待っている。

 市(宮崎あおい)が「殿に似て優しい子」と紹介した浅井家の嫡男・万福丸。彼は数年後、小谷城が陥落した際に信長の命を受けた秀吉によって捕らえられ、わずか10歳前後で「串刺しの刑」という、戦国時代でも稀に見る残虐な方法で処刑される。

 また、秀吉が「わしの甥っ子じゃ!」と溺愛した万丸(のちの豊臣秀次)も同様だ。

「秀次はのちに秀吉の養子として関白の座を継ぎますが、秀吉に実子・秀頼が生まれると邪魔者扱いされ、謀反の疑いをかけられて切腹。それだけでなく、彼の妻や幼い子どもたちなど一族数十人が三条河原で公開処刑されるという、豊臣史上最大の悲劇の当事者となります」

 幸せそうな赤子や少年たちが、数年後には「抱き上げたその手」によって命を奪われ、あるいは滅ぼされていく。この凄惨な未来を予感させる演出に、ネット上では《脚本家はサディストか!》《幸せなシーンなのにホラー映画より怖い》といった声が溢れた。

「脚本を手掛けるのは、大ヒットドラマ『半沢直樹』や朝ドラ『おちょやん』も担当したヒットメーカーの八津弘幸氏。どん底から這い上がる物語を得意とする一方、落とす前の“溜め”の演出には定評があります。29日の放送で、“最高の幸せから地獄へ突き落とす準備”が完了したとも言えますので、主人公の小一郎が願う“兄弟の絆”や“家族の幸せ”が兄・秀吉のエゴによって少しずつ歪んでいく……その幕開けといえるのかもしれません」

 このあといよいよ本格的な戦乱と権力闘争の渦に突き進んでいく『豊臣兄弟!』。フラグが一本ずつ回収されていくたびに、日本中がさらなる“悲鳴”に包まれることになりそうだ。