上皇さまの退位が当人たちへのヒアリングの前例に

 しかし、当の女性皇族は皇室に残ることをはたして望んでいるのだろうか。

現在、皇族は基本的人権が制限された状態にあります。女性皇族の場合、結婚して皇籍を離れれば、名字や戸籍、選挙権を得て、自由な生活を送るチャンスがあります。しかし、女性天皇や、婚姻後も皇室に残る制度が実現すれば、一生その機会は失われます。ジェンダー平等の観点から言えば、女性も天皇になれる権利は重要でしょう。しかし、人権を得られるチャンスを奪ってしまうという見方もできるのです」(鈴木准教授)

 秋篠宮さまは「当事者の意見を聞いてほしい」との趣旨の発言をされてきた。

「かつて、佳子さまが“私とお姉ちゃんは生まれたときからここしか知らない”といった胸中を明かされたと報じられたことがあります。ご本人がどう考えているのかはいまだにベールの向こう側です」(前出・皇室担当記者)

 鈴木准教授は、今回の協議に向け、対象となる皇族の方々へのヒアリングを提言する。

私は、絶対に秘密が守られるという条件のもとで、ご本人たちが胸の内をすべて吐き出せる機会をつくるべきだと考えています。10年ほど前、上皇さまが“退位”の意向をにじませ、結果として特例法がつくられたという前例があります。人権に年齢は関係ありません。“あなたには人権がないんだからダメです”と突き放すのが法律の建前かもしれませんが、結局は“声”を聞かざるを得ないという状況になったのです。

 もし愛子さまが“天皇になりたい”あるいは“自由になりたい”と主張された場合、政府はどのように向き合うのか。政治家は世論の顔色をうかがうだけでなく、一人の人間の人生に対して腹をくくる必要があるでしょう

 女性皇族が自らの未来を、自らの意思で描くことができる。そんな日が今年中に実現できるのだろうか─。

鈴木洋仁 神戸学院大学現代社会学部准教授。元号や天皇に関する研究を進めており、著書は『「三代目」スタディーズ 世代と系図から読む近代日本』(青土社)ほか多数