花好きのきれい好きな女性
住人らによると、剛容疑者は体格がよく、濃いグレーや紺色など落ち着いた色合いのスウェットなどを着ていた。ひょろっとした細身の秀子さんは、ズボンなど動きやすい服装が目立った。
秀子さんは花が好きで、きれい好きな女性だった。以前は玄関前に鉢植えをいくつも置き、周囲を丁寧に掃除していたという。部屋を訪ねると、室内から掃除機をかける音がよく聞こえてきた。秀子さんは耳が少し遠く、数年前に精神状態に波がある時期があったという。
「鉢植えは消防に注意されたらしく“ベランダに移したのよ”と話していました。十数年前に一度だけ、60代ぐらいの男性が秀子さん宅を訪ねてきたことがあり、そのことを話したら“知らないわよ!”と言われてしまいました。秀子さんは“忙しくて、忙しくて”とか“息子の具合が悪くて仕事を休むことになり、イヤになっちゃう”などとこぼしたこともありましたね」(団地の女性住人)
剛容疑者は独り言をつぶやきながら団地周辺を歩くことがあった。団地住人が挨拶をしても返さず、スッと消えるのが常だった。
「以前、剛容疑者が激高して、近隣宅の玄関をボコボコに叩いて回ったことがあったんです。住人に怒鳴られたか叱られたのが気に障ったみたいで、秀子さんは“うちの子がそんなことやるわけないでしょ”と最初は庇っていたそうですが、やがて納得したのか“ドアのへこみなど、全部弁償します”と謝って歩いたといいます」(同・住人)
年配の女性と中年の息子。世間でいえば息子が母親の手を引いて……という光景が想像されるが、この母子はそうではなかった。
「どちらかといえば、秀子さんが剛容疑者に寄り添っている印象です。秀子さんの運転する軽自動車で、2人でよく買い物に行っていたから親子仲はよかったんですよ。剛容疑者はぶっきらぼうな面がありますが、秀子さんが持っている荷物をバッと横取りして持ってあげたりして。秀子さんはうれしそうでした」(同・住人)
救急車を呼ばず、動かなくなった母親と自室で向き合って1週間以上たったころ、闇に乗じて団地内の階段踊り場に遺体を運んだとみられる。人目につく場所だから隠す意図はなかったのかもしれない。誰かに見つけてほしかったのだとすれば、あまりに残酷な親子の別れだろう。

















