53歳という年齢を考えて大食いは控えたほうが

 それゆえ、日村の活動休止によるパワーダウンを危惧するネットニュースも配信された。そこで感じたのは、昔と変わらないテレビ業界の過酷さだ。いや、テレビを見ない人が増え、奪い合える視聴者の数が減っている分、いっそう過酷になっているのかもしれない。

 しかも『せっかくグルメ』の最大の売りは日村の豪快な食べっぷり。制作サイドも「スタッフと分けて食べる」こともあるが「ひとりで完食する場合も普通にあります」と説明している。

 この「ガチ志向」がウケ、ゲストまで爆食いを披露するようになってきた。後期高齢者の寺尾聰や細身のアイドルである永瀬廉までもがそれをやっていると心配にもなるが、よく考えたら誰より大変なのは日村だ。

 実際「ガチ志向」にはリスクもある。例えば、テレビ東京のバス旅系番組では、人気が上がるにつれルールが厳格化。蛭子能収のような“不健康キャラ”の人にバスのない山道を10キロも歩かせるスパルタな趣向が、ギャップ的面白さを生んだ。しかし、今年の2月には元サッカー選手の前園真聖がロケ中に大ケガを負う事故も起きている。

 くしくも、日村の活動休止が発表された前日、神田が司会のひとりである『ぽかぽか』(フジテレビ系)に彦摩呂が出演。グルメロケの苦労を語った。

 編集でどこが最初の店になるのかがわからないため、1日7軒もの収録でも、「常に今日初めてという顔で食べる。脳が“初めて指令”を出しているんで、とっくにお腹いっぱいという感覚はなくなりました」とのことだ。

 日村も家庭ではダイエットに挑戦したりしているようだが、ロケやプライベートの外食でリミッターが外れがちだという。53歳という年齢を考えても、これを機に、無理な大食いは控えたほうがよいのではないか。

 そういう意味では、テレビも放送開始から73年というなかなかの老人だ。もう「ガチ志向」は諦め、ゆるい方向に舵を切る潮時かもしれない。残念ながら、年をとるというのはそういうことなのだ。

ほうせん・かおる アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。著書に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)。