起用してくれる側の勇気に感謝

 生島の復帰は、文化放送が最初に手を挙げてくれて叶った。広告代理店の関係者や旧スタッフが陰で働きかけてくれていたことも後で知った。

「僕を復帰させて世間からどういう反応があるのか、最初に使う側は相当勇気がいるはずです。文化放送が1時間の冠番組を用意してくださったことには本当に感謝しかありません。ただ、復帰はスタート地点に立っただけのこと。

 コンプライアンス違反をしたという事実は消えることがなく、ずっと背負っていかなければならない十字架です。だから、ここからコツコツと信頼を積み重ねて、初めてお許しをいただけると思っています」

 復帰にあたっては若いころに故・久米宏さんから言われた言葉も思い出した。

「全員から好かれようとせず、敵が半分、味方が半分という気持ちで自信を持ってやれと。この言葉で再びリスナーの前に立つ勇気を得ました。どん底を経験したからこそ話せる言葉、生きていればいろいろあるという共感を通じて、これまで以上にリスナーに寄り添いたいと考えています」

 新番組のスタートは好調で、文化放送の田中博之社長は生島を「人を元気にさせる力を持っている」と評した。

 一方、不祥事による「一発アウト」で復帰できず、退場したままの芸能人や政治家も多い。

「ハラスメントを受けた側の苦しみを軽んじてはいけませんし、犯罪となると話は別です。一方で、社会的制裁を受けた人が戻る道について、社会全体で考える時期に来ているのではないかと思います。ルールを共有し、イエローカードの段階で調整できる仕組みがあれば、お互いの不幸を減らせるのではないでしょうか。

 気づかぬうちに一発アウトになることも防げます。もちろん不祥事の内容にもよりますが、失敗した人が失敗から学んで次に挑む、そういうセカンドチャンスを認める社会づくりも必要だと思っています」

 生島は75歳からのセカンドチャンスで、これからも走り続けるためには、健康であることは欠かせない。もともと健康オタクとして知られ、以前は「薬を飲まないこと」を自慢にしていたが、現在は身体の変化を受け入れ、必要に応じて薬の力を借りるようになった。

「前立腺の悩みや、コレステロールや中性脂肪に起因する目の血管トラブルに対して治療を受けています。でも生活習慣を見直して、ウォーキングをして、薬だけに頼らない生活は心がけています。親しいドクターがたくさんいて、健康情報はたくさん聞くことができるので、これからもリスナーの皆さんに共有していきたいですね。これまで同様『元気が出るサプリメント』のようなラジオ番組をお届けしていきます」

取材・文/紀和 静 撮影/佐藤靖彦