アライグマ被害、最も恐ろしいのは感染症
さらに懸念されるのが、生態系への深刻な被害だ。
「アライグマは何でも食べます。“食べないものを探すほうが難しい”と言えるほど。都内では、絶滅危惧種のトウキョウサンショウウオが食べられてしまう被害が問題視されています。
また、木登りが得意なため、鳥の巣を襲うことも日常茶飯事。アメリカでは“アライグマの影響を受けない鳥はいない”とまで言われています。湿地にも入るため、地上に巣を作る鳥たちにとっても天敵なのです」
これほど危険な害獣に対して、行政の対策は追いついているのか。
「現在は行政が中心となって対応していますが、クマやシカの対策で手一杯となり、アライグマにまで手が回っていないのが現状です。アライグマは非常に賢く、学習能力が高い。特に都市部は情報が多いため、それを学習してさらに知恵が働きます。対策が遅れれば遅れるほど、厄介な相手になっていくのです」
手の打ちようがないようにも思えるが、アライグマにも「弱点」はあるという。
「幸いなことに、彼らは学習能力を上回るほどの強い好奇心を持っています。警戒心が薄く、見慣れないものがあると確認しにくるため、罠にかかりやすい。
自治体が実施する講習会を受ければ、狩猟免許を持たない一般の人でも捕獲活動に参加できます。住民の協力システムを構築し、科学的なデータに基づいて対策を進めれば、決して手に負えない相手ではありません」
もし、私たちが街中でアライグマに遭遇してしまったら、どう行動すべきなのだろうか。池田教授は、何よりも「病気への警戒」を強調する。
「見かけた場合は無視せず、すぐに自治体へ報告してください。アライグマの被害で最も恐ろしいのは、感染症です。
例えば『重症熱性血小板減少症候群(SFTS)』。これは、アライグマなどがウイルスを持つマダニを山から住宅街へと運び込むことで、ペットや人間に感染します。“自分にも直接の被害が及ぶかもしれない”という強い危機感を持つことが重要です」
アニメの愛らしいイメージとは程遠い、大都会に潜む危険な隣人。東京の足元で、静かな脅威が確実に広がっている。

















