安倍内閣は丁寧に生前退位の実現にこぎつけた
象徴天皇制に詳しい名古屋大学大学院人文学研究科の河西秀哉教授は、現在の状況をこう解説する。
「皇室典範の改正において高市政権は独善的になっている節があるように見えます。現在の宮内庁長官を務める黒田武一郎氏は、もともと高市氏に近い存在で“送り込まれた”という見方すらもあったほどでした。しかし、黒田長官は前出の陛下の会見数時間前に“拝察している”と同様の趣旨を発言するなど、陛下に寄り添われており、宮内庁からも改正議論がいかに強引に見えるのかがうかがえます。安倍政権の『生前退位』のときのほうが、そのあたりはかなり努力した印象でした」
生前退位が行われたのは'19年4月。上皇さまがメッセージを公開されて以降、慎重に議論が重ねられた。
「'16年8月8日、宮内庁を通じて、当時、天皇だった上皇さまがビデオメッセージを公開されました。“全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが困難になる”というお言葉を受け、当時の安倍内閣は生前退位の法整備に取りかかりました。そして、“特例法”という形で一代限りの制限を設け、生前退位の実現にこぎつけたのです」(前出・皇室担当記者、以下同)
この退位実現の裏側には、ご一家の団結があった。
「退位を考えられた際に、上皇さま、天皇陛下、秋篠宮さまの『三者会談』が行われていました。もともとは兄弟間の“ギクシャク”を酌まれた美智子さまが、'12年ごろから始められた会でしたが、退位に関する思いについても、この会で話し合われていたのです」
自らの意見をあまり発信できないお立場だからこそ、理解のために家族同士で話し合うのは貴重な機会だったはずだ。しかし、こうした公式的な会談は、現在行われていないという。

















