「腎臓に異変」過酷な治療の代償
治療は、シスプラチンという抗がん剤と放射線で行うことに決まり、ここから想像を絶する過酷な日々が始まる。
「強い吐き気という副作用があることは事前に説明があったのですが、酒飲みの私は二日酔いには慣れているし、大丈夫かな~なんて軽く考えていたんです。でも、実際はとんでもない!
食べ物のにおい、隣の人のおしゃべりの声、あらゆることに反応して腹の底から大波のような吐き気が繰り返し押し寄せてくる。病院のトイレで吐き続けた末に、床に頬をべったりつけ、倒れたまま吐いたことも。あの吐き気は異次元でした……」
体力はみるみる低下し、身長161センチメートルにして体重は35キログラムまで減少。さらに治療開始から2か月たつと、腎臓周辺に激しい痛みを感じるように。
シスプラチンによる腎臓へのダメージに加え、腹部に放射線を当てた影響もあったのか、尿管が狭窄して尿が膀胱に運ばれず、腎臓にたまってしまう“水腎症”になっていた。
「『水をたくさん飲んで』と言われるのですが、尿として排出できないので飲んだ分だけ腎臓にたまってしまうんです。1日1リットル飲んだら1キログラム体重が増える。
翌日も1キログラム、その翌日も……と増え続け、むくみで10キログラムぐらい体重が増えました。痛みは一日中叫び続けるレベルで、痛み止めも効かず。出産の痛みを超えました」
また、それまで片時も離れず過ごしてきた幼い息子を残しての入院も、身体の痛み以上につらかった。
「夫と息子は毎日お見舞いに来てくれたのですが、ある日、病室の仕切りカーテンを息子が自分でシャッと閉じて私に会うのを拒否。『バイバイいーやーよ』と、泣き出して。
会えばまた別れなきゃいけないことをわかっていたんですよね……。申し訳なくて、涙が止まりませんでした。今でも寂しい思いをさせたことを後悔しています。
でも、外出時に腕を貸してくれたり、優しくて自慢の息子に育ちましたよ」













