皇族数の確保に向けた皇室典範改正案を閣議決定
6月30日午後、政府は臨時閣議で、皇族数の確保に向けた皇室典範改正案を閣議決定した。1女性皇族が結婚後も皇族の身分を保つ、2旧宮家の男系男子を養子として皇族に迎える─ことを可能とする内容で、政府・与党は今国会での成立を目指している。
報道によると、1については、経過措置として、改正法施行時の女性皇族は、結婚時に本人の意思で皇室に残るかどうかを決められるとの規定を付則に盛り込んだ。また、住民基本台帳法を改正し、結婚した女性皇族にも同法を適用する。「夫と子」の身分は改正案に明記せず、皇族とする規定を設けなかったことなどから、一般人のままとする。
2では、改正案に「養子皇族男子」の章を設け、旧11宮家の15歳以上の男子で配偶者と子がいない場合、養子縁組を可能とした。皇族の養子を禁じる現行の皇室典範9条は維持し、例外と位置づけた。養子本人は皇位継承資格を持たないが、養子に生まれた男子は皇位継承資格を持つことを明確にした。
付則には、必要に応じて30年ごとに見直しを行うとの検討条項を盛り込んだという。一部の野党は養子に生まれた男系男子が皇位継承資格を持つことなどを批判している。国会での与野党対立が改正案の審議に影響する可能性もある、とも報じられている。
悠仁さまが生まれる前年の'05年11月、皇位継承のあり方を検討してきた小泉純一郎首相(当時)の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」は、皇位継承順位は男女にかかわらず、天皇の第1子を優先するなどの報告書をまとめた。その中で、旧宮家の復帰案については《国民の理解と支持、安定性、伝統のいずれの視点から見ても問題点があり、採用することは極めて困難である》などと結論づけた。
その理由として、《皇族として親しまれていることが過去のどの時代よりも重要な意味を持つ象徴天皇の制度の下では、このような方策につき国民の理解と支持を得ることは難しいと考えられる》などと記述している。
前回の、この連載でも触れたが、佳子さまや弟の悠仁さま、それに、両陛下の長女、愛子さまにしても、国民は生まれたときからよく知っている。幼稚園、小学校、中学、高校、大学と、その成長する過程をつぶさに見てきて、大きな親しみを感じているのだ。そのことが、国民が象徴天皇制を支えるうえで、何よりも大切なことなのだ。
名前も顔も知らない旧宮家の男系男子がいきなり皇族となったとしても、国民が、佳子さまたちに抱くような敬愛を感じるだろうか。ここが大事なのだ。ぜひ、このことを理解してもらいたい。
また、6月27日付朝日新聞の「社説」ではこう指摘している。
《結婚した女性皇族に住民基本台帳法を適用するのも疑問だ。天皇と皇族は皇統譜(皇室の戸籍の面も持つ、血統の正統性を示す公文書)に登録されるが、それとは別の、一般国民と同じ扱いを適用することになる》
皇室典範改正案に突然、住民基本台帳法が出てきて、私もとても驚いた。仮に、愛子さまや佳子さまが結婚して皇室に残ったとしても、《一般国民と同じ扱いを適用することになる》としたら、おふたりはこれまでと同じように皇居や赤坂御用地の中に住み続けてよいのだろうか。それに加えて、夫と子どもは一般人なのだ。疑問に思う。
ともかく、この皇室典範改正案を仔細に検討し始めると、不思議に思うことがいくつも出てくる。それなのに、政府・与党は今国会での成立を目指しているという。
なぜそんなに急ぐのか。不可解なことが多すぎる。
<文/江森敬治>


















