記事連載で知名度もアップ
会社は急成長し、西崎さんは書籍を何冊も出すまでになったが、成功の秘訣を野下さんはどう見ているのだろうか。
「さっちゃんはトップダウンで組織を動かすのではなく、『自分より周りのみんなのほうが優秀だ』と考えていて、スタッフを信頼し、頼りにしています。周囲への気遣いもこまやか。だから自然とスタッフが『彼女のために頑張ろう』『彼女に楽をさせてあげたい』という気持ちになり、チーム一丸となって成果を出す体制が築けている。そんなさっちゃんのキャラクターが成功につながっていると思います」(野下さん)
講座の修了生が増えるにつれ、西崎さんの名前は少しずつ知られるようになっていったが、知名度が全国区になったのは週刊誌『AERA』(朝日新聞出版)のデジタル版「AERA dot.(当時/現在は「AERA DIGITAL」)の存在が大きい。西崎さんがママ友を通じて当時の編集長・片桐圭子さんにアプローチしたことをきっかけに連載が決定したが、西崎さんを起用した理由を片桐さんは次のように話す。
「片づけを1人で頑張るのではなく、フェイスブックグループを通じて仲間と励まし合い、愚痴もこぼしながら進めるなど、“シスターフッド”のような仕組みが画期的でした。精神論や華やかな言葉ではなく、毎日少しずつでも地道に片づけを続けるという手法が、AERAの読者の感覚にもフィットすると思ったのです。参加者が撮影した経過写真が豊富にあり、それぞれの人生がどう変わったのか“魂が宿ったディテール”を持って記事化できると考えました」(片桐さん)
片桐さんの読みは当たり、西崎さんの記事は連載後すぐに30万〜40万PVを記録。瞬く間に100万PVを超えるようになる。
「西崎さんの記事は単なる片づけのノウハウではなく、その人の人生がどう変わったかに焦点を当てています。片づけによって『子どもの成績が上がった』『夫との会話が増えた』といったエピソードが出てきて、読者の琴線に触れるんです。中でも『片づけたら義母の罵声が消えた』という記事は200万PVをたたき出し、大きな反響には編集部も驚きました」(片桐さん)
そんな西崎さんの仕事ぶりについては、
「必ず締め切り前に原稿を送ってくれるので、こちらも余裕を持ってチェックができます。こうしたプロとしての仕事の基本ができていて、節目ごとの挨拶、周囲へのこまやかな気遣いができる方なので、多くの人が『この人と一緒に仕事をしたい』と思うのではないでしょうか」(片桐さん)
現在も「AERA DIGITAL」の連載は続いており、片づけられない人の悩みに寄り添った記事が多くの人を救っている。
西崎さんは「人生を変えたい人は、まずは身近なところから片づけてみてください」と語るが、最初に手をつけるなら冷蔵庫がおすすめだという。
「キッチンは家族が変化に気づきやすい場所で、『キレイになったね』と喜んでもらえると『もっと片づけよう!』とモチベーションが上がります。特に冷蔵庫はいらないものを捨てるトレーニングにぴったり。いるものといらないものは賞味期限を見れば明確だからです」
キッチンを片づけた人たちからは、「子どもが自分から弁当箱や水筒を出すようになった」「息子が料理を始めた」といった報告が届くそうだ。さらにキッチンを片づけたら「お金が貯まるようになった」「月2万~3万円食費がダウンした」と話す人も。
「冷蔵庫を片づけると、食材を取り出しやすくなって、自炊が楽しくなったり、無駄を減らしたいという意識も生まれます。片づけが苦手な人は、買い物の回数が多く、ため込みやすい傾向があるんです。家の冷蔵庫は、よく行く近所のスーパーだと思って、必要なものだけをその都度買うようにすると、余計な買い物が減ってお金が貯まりやすくなります」


















