叔母が見つけた虐待の形跡
母親も被害者であることは、近所にも知られていた。
「母も何回も父に殴られて、上唇が裂けていました。真冬に裸で外に立たされたことがあり、近所の人たちも見ていました。『かわいそうだよね』とか、『もういいかげん、誰か止めてあげなよ』とか話をしてくれたりもしました」
一度だけ、警察が来たこともある。
「『ごめんなさい。ごめんなさい』と謝ったり、叫んでいたりしたのが、近所に聞こえたんだろうと思います。おまわりさんに父が『しつけのため』と言っていたんです。このとき、『助けてください』と言おうとしましたが、あとで殺されちゃうと思って言い出せず、おまわりさんは『ほどほどに』と言って帰ってしまいました」
実は、父親の妹で、塚原さんの活動を応援している人がいる。NHKの連続テレビ小説『鳩子の海』('74年)にも出演した女優の藤田三保子さん(73)だ。
「兄は中学を卒業して当時の『金の卵』として上京していきました。それまでは言うことを聞かないとすぐ怒鳴りつけるという人で、恐怖の塊以外の何ものでもありませんでした」(藤田さん)
そのため、上京後にどうしているのかは知らないでいた。一方、結婚して、塚原さんたちが生まれたことは知っていたが、兄とは疎遠となっていたため、幼少期の塚原さんには会っていない。ただ、塚原さんの学校の先生から「ひどいことになっている」という内容の連絡があった。そこで家を訪問し、不自然さに気がついた。
「手紙か電話かは覚えていないのですが、連絡があり、慌てて兄の家に行きました。家の中は掃除が行き届いておらず、母親が家庭をまともに回している様子がありませんでした。私は、布団のカバーを洗濯したり、朝食を作ったり、たえの弟の宿題を見てやったりしました。兄はずっと黙って見ていましたよ。『余計なことしやがって』と思っていたのかもしれません。
驚いたのは、丸いカゴのようなものがあって、子ども用と大人用の靴下が全部入れてあったことです。本来なら、靴下や下着は別々の引き出しにしまってあるものではないかと」(同)
さらに、甥(塚原さんの弟)の腕に発見したものがあった。
「腕に直径1センチほどの白い点々を見つけたんです。たえから『タバコの火を押しつけられた痕だ』と聞かされました。誰がやったのかは聞きませんでした。怖くて言えなかったんだと思います。でも、兄がやったことに間違いないと思いました」(同)
自らも恐怖で支配された経験から、藤田さんは兄が加害者だと感じた。しかし、子どもたちへの性的虐待までは気がつかなかった。藤田さんは甥を連れて帰ろうとした。
「2人を連れて帰るって言ったんです。そうしたら虐待が止まるかもしれないと思ったんです。そのとき、兄は灰皿か何かでテーブルを叩いたらしいのですが、覚えていないんですよ。ただ、ものすごく恐ろしかったことは覚えています」(同)


















