高野連に聞いた「握手制止」の意図

 前出のスポーツ紙記者は高野連の批判について、次のように分析する。

「昨年、問題になった広島県広陵高校の暴行事件について、高野連は当初、厳重注意と一部選手の公式戦出場停止に留めており、その凄惨ないじめの内容から“処分が甘すぎる”という指摘が寄せられました。ネット上でも多くの関心が寄せられ、“加害生徒の特定”を行う人も見られることに。広陵高校はこうした事態を受けて、大会の途中で辞退しています。

 辞退ともなれば、ほかの高校が甲子園の地へ足を運べたということになりますし、高野連の最初の対応次第では、事態の泥沼化を避けられたかもしれません。この時は、“事なかれ主義”の旧態依然とした体制が指摘されていました。

 今回の“数秒の握手すら許さない厳格さ”との落差に、ファンの潜在的な“高野連への不信感”が刺激された側面もあるかもしれません」(前出・スポーツ紙記者)

広陵高校野球部の集団暴行事件、被害生徒の保護者と思われる切実な投稿(インスタグラムより)
広陵高校野球部の集団暴行事件、被害生徒の保護者と思われる切実な投稿(インスタグラムより)
【写真】「助けて」広陵暴行事件・被害生徒の保護者がアップしたとされる悲痛な叫び

 健闘を称え、握手を交わそうとする監督同士をなぜ止めなければいけなかったのか。高野連に問い合わせると、大会本部から次のように回答があった。

試合終了後は、グラウンドですぐに次のチームの試合前ノックが始まるため、危険防止の観点から速やかな退場を促しております。過去にノック中の送球が、3塁側から退場しているチームの指導者に直撃する事故が発生したことがきっかけです。

 現在は、次試合の練習補助員の協力を得て、退場時の防御、カバーをお願いする対策を講じています。取材終了後には、通路や控室で両チームの監督や選手らが互いの健闘をたたえ合い、握手したり言葉を交わしたりすることがあります。こうした交流は従来から行われています」(第108回全国高等学校野球選手権大会・大会本部)

 過去の事故防止という明確な意図があった中で、現場での急な制止は視聴者に“冷淡な対応”として映ってしまったようだ。