とはいえ、最初は手探り状態。同僚の通称“プロテイン先輩”に頼み込んでコンビで動画に出ている。当初は4000人程度だったフォロワー数が、棒と毛布を使った「簡易担架の作り方」の動画が初めて1万回再生を突破。
ライフハックを知っているかで生死を分ける可能性も
そして、アカウントを爆発的に成長させたのが「ペットボトルにロープを結びつけて運ぶ方法」だった。
「自衛隊には過酷なレンジャー訓練があり、そこでよくロープワークの技術を使うんです。それを日常のペットボトル運搬に応用してみたら、なんと500万回再生を記録しました。ワイドショーやネットニュースでも取り上げられ、そこから一気にフォロワーが増えましたね」
SNSのトレンドをいち早くキャッチし、自衛隊流にアレンジするセンスも抜群だ。海外で流行っていたメイク動画の音源に合わせ、自衛隊が顔に塗る「ドーラン(迷彩メイク)」を実践する動画も話題に。
顔の凹凸を目立たなくするため、高い部分に暗い色を塗るという、美容メイクとは真逆の自衛隊メソッドが視聴者の興味を引いた。
池田さんが動画を通じて伝えたいのは、ライフハックだけではない。「自衛隊の多様性」だ。
「自衛隊というと、匍匐前進をして泥だらけになっているイメージが強いと思いますが、陸上自衛隊でいうと戦闘職種は全体の約2割ほど。残りは、料理を作る人、気象予報士、航空管制官など、裏方で支える仕事なんです。災害時に水や電気、食事からお風呂まで提供できる『自己完結型』の組織。
SNSを通じてフランクな雰囲気を見せることで、『こんな人もいるんだ』『いろいろな仕事があるんだ』と知ってもらい、『自衛官は特別な人しかなれない』という概念を崩したいんです」
池田さんの実感でも、イベントの集客は格段に増えており、SNSを見て入隊試験を決断した若者もいるという。そんな池田さんが今、広く伝えたいことを聞いた。
「東日本大震災など、僕もいくつかの災害派遣を経験しました。そもそも災害派遣や有事など、実任務はないに越したことはありません。でも、何かあればすぐに動けるように、自衛官は常に心と物の準備をしています」
だからこそ、一般の人にも普段から備えることの大切さを知ってほしいと池田さんは話す。
「災害大国である日本では、ライフハックを知っているか、知らないかが、生死を分ける可能性もあると思います。このアカウントでは、自衛隊だからこそ知っている知恵やコツを発信しています。ぜひフォローして、いざというときに思い出してもらえたらうれしいですね」



















