養子の対象となる旧宮家は、戦後80年近く民間で暮らしてきた

「守谷絢子さんの父宮だった高円宮憲仁親王が20代だった'82年ごろ、当時は左翼的な風潮が強く、反天皇・反皇室的な言論があふれていました。そんな折にも“皇族としての私の役割は、皇太子さま(現上皇さま)をお守りすることです”と明言される場面がありました。“皇室を批判する人がいるが、陛下(昭和天皇)や皇太子さまら直系の方たちはお立場上、反論することができない。だが、自分は比較的自由な立場にいる。だから、直系の方々が口に出しておっしゃれないことを国民に説明したり、情報を発信したりしなければならない”と語られていました。

 久子妃殿下も'22年に“私どもは国民との接点が多いので、天皇、皇后両陛下の出席がかなわないような小さな行事に携わっていきたい”と憲仁親王の思いを受け継がれるようなご発言をされています」(高森さん、以下同)

 このように皇室には代々受け継がれてきた「天皇をお支えし、お守りし、そのお手伝いをするという精神」があるという。だからこそ、養子制度について高森さんは危機感を募らせる。

養子の対象となる旧宮家は、戦後80年近くずっと民間で暮らしてきた人々です。養子制度は人格的な深い交流を踏まえた婚姻とは性格が異なり、目先の人数確保のためだけの法的手続きという狙いが透けて見えます。親の代から一般国民だった者が養子縁組によって皇族になるという歴史上前例のないやり方なので、そもそも皇族身分の取得そのものの正統性も疑問が生じますし、幼少期以来の成育環境や教育方針が将来の皇族にふさわしい条件を満たしているケースがどれだけあるのでしょうか」

 親から子へと継承されてきた皇室の精神。15歳以上を迎えた養子にその精神は根付くのか、疑念は尽きないーー。

高森明勅 國學院大學講師。神道学や日本古代史を専攻し、『天皇「生前退位」の真実』『「女性天皇」の成立』(共に幻冬舎新書)など著書多数