「私も同じ気持ちです」という同調を暗に示した佳子さま
しかし、意図しない目立ち方をしてしまった花にも、佳子さまなりの心遣いが感じられたという。
「大会開催地の愛知県は、花の産出額が日本一の『花の王国あいち』として知られています。そちらに思いを寄せて、お花を選ばれた可能性は十分ありますよね。その土地にゆかりのあるモチーフを取り入れて敬意を表すというのは、私たちもよく行う手法です。ピンクという色味についても、バラには赤い色と白い色を組み合わせると“団結“という意味があるそうで、その2色を混ぜたピンクという色味は、結団式の場にはぴったりだったのではないかと思います」
さらに、紫・金・緑で構成された大会のエンブレムや、参加選手の装い、大会スタッフのユニフォームにも注目したい。
「スタッフユニフォームやエンブレムには緑色が含まれています。佳子さまは今回、選手を激励するお立場で出席されていますので、そのニュアンスカラーであるミントグリーンで応援のお気持ちを表しているのではないでしょうか。同様に、選手のジャージが“ファイアリーレッド“という鮮やかな赤色なのですが、そこから引き算され、お花はピンクを選ばれたのかなと。金色はネックレスで拾われていました。近い色味をリンクさせて使うことで『私も同じ気持ちです』という同調を暗に示し、ワントーン落とした配色によって、あくまでもメインである選手団を立てているように感じます。選手団関係者と同じ色を配色しないという点も配慮を感じます」
非常に緻密に計算された試行錯誤がうかがえる。それだけでなく、佳子さまは選手団関係者との距離感にも気を配られていた。
「ひざ丈のスカートは、くるぶし丈と比べて親しみやすい印象を与えます。略礼装という場において、あまり固くなりすぎないチョイスをあえてされていて、選手に目線を合わせ、心を一つにするお気持ちを表現されたかったのではないでしょうか。スカートではなくワンピースを選ばれたのも、正礼装よりもカジュアルダウンできますので、よかったんじゃないかと感じます」
自身の装いにお気持ちを乗せて人々に伝える佳子さま。ファッションを通じたコミュニケーションについて、霜鳥さんは自身の経験も交えてこう語る。
「多くの方の前でお話する場面では、どうしても一人ひとりと直接お話しすることはできませんので、自分の本音やお相手への敬意をファッションに乗せて伝えるということをしています。皇室の方々はお立場上、ご自身のお気持ちを伝える場面は限られていますので、よりその思いは強く持っていらっしゃるはずです。ですので、佳子さまの取り組みも素晴らしいと思います」
それぞれのアイテムのチョイス、色味に応援の思いを託された佳子さま。賛否両論あるものの、たった3つのアイテムにも多くの思いと佳子さまなりの配慮が込められていた。佳子さまのファッションにどのようなメッセージが編み込まれているのか、今後も多くの人がそれを待っている――。
霜鳥まき子 スタイリスト・名刺服プロデューサー。JAL国際線CAを経てスタイリストに。個人法人のブランディングや制服デザインなどを手がける。著書に『似合う服だけ着ていたい』(文藝春秋)など

















