相撲の美しさ――塩と水が語るもの
――相撲のどこに美しさや芸術性を見出していますか。
「相撲の構造そのものに美があります。両国国技館の空間、土俵の佇まい、部屋の中のオブジェクトがどこにどう配置されているか。それだけでビジュアルとして非常に訴えるものがあります。
力士の着物も、その色やデザインがとても魅力的です。そして取り組みの中での体の動き、所作そのものにも美しさがある。相撲の美は、日本のライフスタイルの美であり、神道の純粋な美学にも通じていると感じています」
――特に印象深い所作や動きを教えてください。
「何と言っても、塩を撒くシーンだと思います。あの美しさはほかに代えがたいものがあります。土俵を清めるという意味が込められていて、日常の中で塩をあのように投げる場面は、今や相撲の中にしか残っていません。
もう一つ、とても心を打たれるのが、取り組みを終えた力士が次に戦う力士に水を差し出すシーンです。戦い終えて、へとへとのはずなのに、次へ進む仲間に水を渡す。そこに相撲の精神が凝縮されていると感じます。セレモニーとして見ても、人間としての姿として見ても、非常に感動的です」
――相撲の精神や力士の生き方が、ご自身の作品にどのような影響を与えましたか。
「過去の偉大な横綱たちの伝記を学び、今は安青錦や霧島といった現代の力士たちを見続けています。そこから得た最も大切な学びは、二つあります。一つは、自分の選んだ道に誠心誠意を捧げること。
そしてもう一つは、他者に対して親切であること。勝っても負けても、自分が愛することに精進し続ける。そしてある高みに達したとき、自分の後に続く者たちを助ける。それが相撲の最も大切な精神だと思っています。相撲を選んだ者は、それが自分の運命だと感じている。その姿を見て、私自身もアーティストとして励まされています」



















