所得税を納めていなければ、iDeCoを始めても所得税の節税メリットは受けられない。
「ただし、この税制の見直しは、主に所得税についてのもので、住民税については関係ありません。ですから、所得税がかからない人でも、給与収入が110万円を超えて、住民税を納めているケースも。そういう人は、iDeCoの掛け金を所得控除することで、住民税の負担を軽くできる可能性があります」
余剰資金で始めることが大切
例えば、毎月3万円をiDeCoに拠出すると、年間の掛け金は36万円。住民税の節税で適用される税率は10%なので、年間3万6000円の節税効果が得られる。
所得税の節税効果が期待できない人でも、住民税についてはiDeCoの所得控除の恩恵を受けられる可能性があることは知っておきたい。
一方、iDeCoには注意したいデメリットもある。その1つが、原則として60歳まで積み立てたお金を引き出せないことだ。
「iDeCoは将来の老後資金をつくるための制度であり、NISAのようにいつでも自由に使えるお金を貯めるものではありません。今後数年のうちに使う予定があるお金ではなく、老後のためのお金であることを理解し、余剰資金で始めることが大切です」
また、NISAに比べると仕組みが複雑になっている。
「NISAは、基本的には口座内で運用して得た利益が非課税になるというシンプルな制度です。一方、iDeCoは加入条件や掛け金の上限、受け取り時の税金、手数料など、確認しておきたいルールがいくつかあります」
商品選びも悩ましい。信託報酬の運用期間が短い場合は、どうしたらいいのだろうか。
「iDeCoの運用商品には、預金、保険、投資信託などがありますが、やはり少しでも増やすなら投資信託。長期運用を前提とした制度では、信託報酬の低いインデックスファンドを選ぶといいでしょう。元本割れが怖いなら、元本割れする前に運用商品をかえるという手もあります」
iDeCoでは、運用途中で保有している投資信託を売却し、そのお金で別の商品を買い直すことが可能だ(スイッチング)。iDeCo口座内で行うのであれば、非課税になる。
仕組みが複雑でも、利用する意義は大きい、と深田さんは続ける。
「夫が定年を迎えるので、自分が外で働くという女性も多いでしょう。70歳になったときに、それまで働いて積み立ててきたiDeCoを、自分へのご褒美として使ってもいいし、老後のために残してもいい。長生きして、ひとりになったときも頼りになります。iDeCoで自分名義の老後資金を準備するのはおすすめですよ」
深田さん自身も45歳でiDeCoを始め、現在まで14~15年にわたって積み立てを続けている。
「何よりお金が確実に貯まるのは積み立てです。私自身、iDeCoを長く続けてきたことで、老後資金が積み上がってきたと実感しています」



















