ふとした瞬間に蘇る「堀の中」の記憶
最上さんは出所後、脳梗塞を患い、現在は左半身に麻痺が残っている。それでも「脳梗塞での生活のほうが刑務所よりずっといい」と語る。
「今は具合が悪くなればすぐに救急車を呼べます。刑務所だと、どんなに体調が悪くても刑務官の許可を待たなければならず、診察を受けるまでが大変でした。今、病気でも頑張れているのは、刑務所でいじめに遭っても、両親や娘の手紙・写真を見て踏ん張った経験があるからだと思います」
日常生活での何げない光景から、刑務所での生活を思い出すことも多い。
「刑務所では日曜日の午後に福山雅治や山下達郎のラジオ番組が流れていて、今もラジオから流れてくる声や音楽を耳にすると、『ああ、あの場所にいたな』と当時の記憶が蘇えります。
刑務所の作業で、下着専門店の下着や百貨店の紙袋を作っていたので、外で目にした瞬間に、単調で厳しい作業を思い出すことも。警察官やパトカーを見ると、悪いことをしていなくても今でもドキドキして不安になります。
振り返ると刑務所にいた3年半は、キツくてしんどいことだらけの時間でした。だからこそ、今こうして自分で自由に歩き、物を選べることのありがたみを感じずにはいられません」
最上さんは知られざる女子刑務所の実態を語ることで、「絶対にここに入るようなことはしてはいけない」と教えてくれているのだ。
最上六花さん
会社の指示で有印私文書偽造と詐欺幇助を行い、2回収監された元女子受刑者。約3年半の女子刑務所での体験を漫画家の小池恵子氏に伝えて漫画制作に協力。『女子刑務所はこわいよ』『女子刑務所に2度入りました』(共に竹書房)を出版。現在は夫と子どもと穏やかに暮らしている。
会社の指示で有印私文書偽造と詐欺幇助を行い、2回収監された元女子受刑者。約3年半の女子刑務所での体験を漫画家の小池恵子氏に伝えて漫画制作に協力。『女子刑務所はこわいよ』『女子刑務所に2度入りました』(共に竹書房)を出版。現在は夫と子どもと穏やかに暮らしている。
取材・文/紀和 静 マンガ/小池恵子













