人工透析を避けるべく、糖質制限による血糖値コントロールを提案する医師の元に通い始め、徹底した糖質制限を開始。体重も70kg台からみるみる落ちて57kgほどになったが、ここにも落とし穴があった。
「実は途中から、事情があって医師の指導のない状態で糖質制限を続けていたため、極端に制限しすぎていたんです。そのせいで、ケトン体という物質が体内に過剰に蓄積する『ケトアシドーシス』に陥ってしまった。血液が酸性に傾き、強い倦怠感や吐き気、意識障害を引き起こす重篤な病気です。緊急入院してなんとか一命をとりとめました」
透析は週3回、1日4時間
仕切り直し、適切な血糖値コントロールによる食事療法を再開し、相性のいい医師にも出会って治療を続けていたが、それでも少しずつ坂を下るように腎臓の状態は悪化。
吐き気や倦怠感で日常生活や仕事に支障を来すようになり、とうとう人工透析を受け入れざるを得ないと決断したのが去年。48歳になっていた。
ダースレイダーさんはライブのための地方出張も多く、週3回、1日4時間の透析は仕事に影響する。
加えて週末は家族との時間も確保したい。できるだけスケジュールを柔軟に組め、通いやすさも考えて何軒か透析クリニックを見学し、知人の紹介で「セルフ透析」ができる「田端駅前クリニック」と出合った。それが病気との向き合い方を大きく変えることに。
「一般的なクリニックって、当たり前かもしれませんがすごく静か。エネルギーを感じない場所というか……。でも今のクリニックは、ジャズがかかってカフェみたいな空間に、リクライニングシートでノートPCで作業している人がいたり。『透析のイメージと違うぞ』って。医師の説明も丁寧で、すごく寄り添ってくれる感じがありました」
「その人らしい人生を送るための透析」をコンセプトとするクリニックだった。
「僕が抱いていた、『生き延びるための生命維持装置』ではまったくなかった。スケジュールの自由度が高いことも決め手のひとつで、基本の日程は決めるけれど、変更にも柔軟に対応してくれる。それがとてもありがたかった」
セルフ透析とは、透析の準備、穿刺、回路接続、片づけまで、すべて自分で行う人工透析のやり方。その“自分で”というのが、病気との向き合い方にもプラスに作用しているという。
「治療も看護も“受ける”ものだから、病気があるとどうしても“受動モード”になりがち。でも、セルフ透析は自分のメンテナンスを自分自身で行う能動的な治療だと考えています。カッコいい言い方をすると、F1レーサーの『ピットイン』のように、走り続けるためピットに入って、タイヤ交換やエンジン修理をするメンテナンス法。
何年も人工透析から逃げまくったあげく、いよいよ追い詰められたという感覚だったのが、セルフ透析を『動くために自分で調子を整える』と捉えるようになって、病気との向き合い方が変わった気がします」



















