セルフ透析を始めて1年あまり。1度につき4時間かかる透析の時間も無為にしないのがダースレイダーさんだ。

2人の娘が成人するまではがんばる

「最初こそ『この時間を有意義に』と意気込んでいました。でも、この先一生のことだから無理に飛ばすのはやめ、最近は眠くなったら寝ちゃう。たとえ2時間寝てもあと2時間もあるから、そのあとは仕事で必要な本を読んだり、映像を見たり、考えをまとめたりして、けっこう忙しく過ごしています。普段はそうしたことのために4時間確保するのは大変。でも透析の時間を使えると考えると、それはそれで貴重だなと」

 適度な運動や腎臓に負担をかけない食事を続けつつ、仕事や社会活動も精力的にこなす、ダースレイダーさんの次なる目標は?

「今年、長女が17歳、次女が11歳。2人が成人するまではがんばるというのは家族の共通認識で、僕の中で目標になっています。半分ネタみたいな感じで、長女からよく『だってパパ死んじゃうじゃん』と言われます(笑)。その意味は、だから旅行とかおいしいものを食べに行くとか、一緒にどんどんやろうってこと。あとは会いたい人に会うことを先延ばしにしないようにしています」

 今現在の目標は、行動範囲を広げること。

「今年、家族で韓国旅行に行って旅行中も透析をしました。人工透析を始める前は、それによって人生でチャレンジ自体ができなくなると思っていたんです。でもセルフ透析で『まだ挑められる場所があるぞ』ってわかった。だからそれをどこまで広げられるか、チャレンジし続けたいですね」

『セルフ透析はじめました』(KADOKAWA)病と共に生きるラッパーのダースレイダーさんが、主体的に治療へ関わる「セルフ透析」に挑戦し、不自由さを新しい自由へと変えていくノンフィクション
【写真】痛々しい…透析中のダースレイダーさん

取材・文/遊佐信子

ダースレイダー 1977年生まれ。ミュージシャン、ラッパーとして日本のヒップホップシーンを牽引。脳梗塞を発症後、複数の病気と闘い続けながらも、積極的にメディア活動を継続。