昨年12月、トヨタ自動車から水素カー・新型燃料電池車『MIRAI』が発売され話題になりました。水素化社会へ向けた取り組みが続々とスタートし始めましたが、実は現在、医療や美容、健康に関する分野でも熱視線が注がれ、たくさんの研究が進められています。

 水素治療に取り入れているクリニックが登場したり、水素のエステメニューや水素水サーバーを導入している施設が増えたり、ドラッグストアなどで手軽に水素商品を手に入れることができるなど、私たちの生活にどんどん浸透しつつあります。やってきた水素元年。どうすれば、水素と上手に付き合うことができるかを大解説します!

体内に取り込んだ酸素と糖をエネルギーに変えるため、ミトコンドリアはフル稼働。すると悪玉活性酸素も同時に発生してしまう
体内に取り込んだ酸素と糖をエネルギーに変えるため、ミトコンドリアはフル稼働。すると悪玉活性酸素も同時に発生してしまう

■活性酸素には善玉と悪玉の2種類がある

 水素が医療分野で注目されている理由のひとつが、身体のサビつきの原因となる物質『悪玉活性酸素』を取り除くという点です。

 私たちの身体を形作っている細胞の中には、ミトコンドリアという器官があります。ここは食事から取り入れる糖分と、呼吸で取り入れる酸素をエネルギーに変換する場所。エネルギーを作るときに酸素が身体のなかの電子と反応し、変質してしまったものが活性酸素です。

 このとき発生する活性酸素には大きく分けて2種類あります。ひとつは血管を作ったり拡張させたり、身体の中のウイルスや雑菌を除去する機能を持つ善玉活性酸素。もうひとつが悪玉活性酸素です。

 悪玉活性酸素は細胞や遺伝子を酸化させ、身体をサビつかせるもの。善玉活性酸素よりも強力な酸化力を持つため、がんや糖尿病、認知症やパーキンソン病などのほか、シミやシワなどの老化、肌トラブルや疲れやすさ・太りやすさが増すなど、体質や体調を悪い方向へと導く、万病のモトなのです。

■強力な抗酸化物質は善玉活性酸素も除去してしまう

 悪玉活性酸素が発生しても、若いうちは身体にもともと備わっている抗酸化力で、ある程度は除去できます。しかし、年齢を重ねるにつれて徐々に抗酸化力も弱まるため、身体のサビつきは少しずつ増えてしまうのです。

 そんな悪玉活性酸素を除去することができるのが、抗酸化物質です。代表的なものとして、ビタミンCやビタミンD、コエンザイムQ10などがありますが、水素も抗酸化物質のひとつなのです。

 抗酸化物質を摂取することで、活性酸素を除去して健康になる、というのは間違いではありません。しかし、強力な抗酸化物質は、身体にとってよい働きをする善玉活性酸素までをも除去してしまいます。

■水素は身体のサビだけを落とすことができる

 実は、水素の抗酸化力はそこまで強くありません。しかし水素には、ほかの抗酸化物質にはない強みがあります。それは、身体に害があるほどの強い酸化力を持つ悪玉活性酸素だけを除去できること。酸化力の弱い善玉活性酸素には反応せず、効果的に身体のサビだけを落とすことができる唯一の抗酸化物質が、水素なのです。

 抗酸化作用のほかにも、水素には抗炎症作用があります。炎症とは、身体にウイルスや細菌が入った場合、免疫反応として起こる熱や腫れ、痛みのこと。身体を守るために炎症が起きるのですが、そうすると細胞が酸化してしまい、よりいっそう炎症が強まる場合があります。水素は炎症を促進する物質の働きを抑えて、炎症を抑制することができるのです。

 このように、水素によって、本来その人が持っていた身体の機能や抗酸化力が元に戻るため、自然治癒力が高まるのです。