LGBT
 注目を集めている“LGBT”。しかし、セクシャルマイノリティーと出会ったことがない人は、どんな人たちなのか想像がつかないかもしれない。そこで、当事者にインタビュー。生活について教えてもらった。

 私は女の子だけど、女の子が好き。そう気づいたのは就学前だったという麻美さん(35歳・仮名)。

「自覚したのは5歳ごろ。初恋は保育園の先生でした。最初は母のことが好きな気持ちと同じなのかな、なんて思っていましたけど、いま思えばずーっとブレずに女性が好きでした」

 小中学校では、いじめにあったこともあった。

「もともと変わり者扱いされていた部分もありましたが、そんなときに“女の子が好き”って言ってしまって。その結果、いじめられました。振り返ってみれば、理由は何でもよかったんだと思います」

 いまも友人には必ずレズビアンだということを伝えている、と麻美さん。しかし、両親にはなかなか言い出せなかった。

「親に伝えたのは30歳を過ぎてから。共感力の高い父に、先に伝えることにしました。母は保守的だし“お母さんに拒否されたら、どこに帰ればいいの?”と心配で。ひとりっ子だし、なまじ円満家庭だったので、何かを壊すのがとても怖かったんですね」

 思い切って母に告白。だが拍子抜けするほど、そのまま受け止めてくれた。

「“日本ではまだ同性同士は結婚できないし、あなたは外国に移住するタイプでもないから、ひとりで生きられるようにきちんと勉強しなさい”と言われました。女性はリアリストですね。私的には、100点満点の対応をしてくれました」

 もちろん、いつも成功するとは限らない。

「いま私は派遣社員として働いているのですが、派遣仲間に伝えて、関係を断たれてしまったことも。気持ち悪いというより、正しい対応がわからずにフェードアウトされた感じでした」

 いわゆるストレートの男性に伝えるときが、いちばん難しいと麻美さん。

「職場でそれまで兄貴的に面倒を見てくれていた人ほど、引く率が高い。自分が恋愛対象外にいることに驚いてしまうのかな?“結局は女同士じゃなくて、男と女だよ!”と言われたことも。“アナタにとってはそうでも、私は違います”としか言えませんけどね」

 その場では理解したように振る舞っていても後日、

「早く彼氏を見つけて結婚したら?」

 などと心ない言葉をかけるのも、ストレートの男性が多いと打ち明ける。

「思い切って伝えた大事なことが、後日にはなかったことになってしまっているというのは、とてもつらいですよね」

 レズビアンへの誤ったイメージ、常にポルノ的な扱いをされるという偏見にも悩まされている。特に男性からは同性同士の恋愛というだけで、すぐに性行為について聞かれることも多い。

「AV的な連想をされるのは迷惑! レズビアンだからって、しょっちゅうセックスのことを考えているワケではありません。私を筆頭にモテないレズビアンだっています(苦笑)。女の子が好きでも“女好き”かと言われればそれはまた別の話ですから。性に奔放かそうでないかの割合は、ストレートと変わりありません。恋する相手が同性というだけなんです」

 麻美さんは男女問わず友達が多く、飲み会などの誘いも多い。誰にでもフラットな態度をとる、親切で気さくな性格だけに交友関係はどんどん広がっている。

「カップルになってしまうと、レズビアンは四六時中一緒にいて、閉鎖的な世界に入り込みやすい傾向がある気がします。おもしろいのが、レズビアンのカップルって、見た目がどんどん似てくるんですよ。同性同士なだけにショッピングへ出かければお洋服や化粧品なんかも楽しく選び合えるし、相手の家に泊まって、そのまま服を借りてなんていうこともよくあるから。長く付き合っていると姉妹みたいになるのは、“レズビアンあるある”かもしれません」

〈LGBT用語解説〉

レズビアン(女性同性愛者)

 女性という自覚があり、恋愛や性的欲求の対象も女性という人のこと。“レズ”という言葉は蔑称として避けるべき。