3つ目は人間性をどう表現するかです。ここでは自分の「視座の高さ」を意識するとよいでしょう。

人間性は「視座の高さ」に表れる

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 簡単な例でいうと、メールのタイトルで【重要】【緊急】という文字を入れて送りたいと思ったときには、相手にとって重要なのか、緊急性が高いのかをいったん考えてみたほうがよいでしょう。視座とは物事を見る視点の高さですが、自分の視座だけで考える人は、相手への配慮が薄くなり、人間性も低く思われます。

 相手にとっては別に緊急で対応する必要がない場合には、タイトルからは外した上で「こちらの締め切りの関係を申し上げて恐縮ですが……」などと断りを入れた上での協力依頼としたほうがよいでしょう。

 さらに込み入った話しになってきた場合には、どのような視座で書くのかということはとても重要になってきます。たとえば、新しいリーダーが相応しくないということを上司に伝えるという設定で考えてみましょう。

 このような話はメールではなく直接会って話すのがベターですが、時間や場所の関係でどうしてもメールしかない、という前提だと思ってください。まず、以下のようなメールが送られてきたとしたら、相手に対してどんな印象を持ちますか?

件名: 鈴木さんの件

To: 山田部長

山田部長

お忙しい中失礼します。プロジェクトリーダーになる予定の鈴木さんについて、ご相談です。

そもそも、新規サービス展開プロジェクトのリーダーがなぜ、鈴木さんなのでしょう? 新サービス展開には豊富な技術知識が不可欠です。鈴木さんは、数カ月前に営業から異動してきたばかりですし、前部署のメンバーからも、いい話は聞きません。

営業数字が高いからといって、今回のプロジェクトリーダーが務まるとは思えません。もし、再考いただけないのなら、常務にもご相談したいと考えております。

早田

 いかがでしょうか? 極端な表現に思われるかもしれませんが、セミナーや研修などでは「こういうメールってあるあるだよね」とうなずかれる方が意外といらっしゃいます。

 このメールは、自分の視座だけで書かれており、部長の視座にはまったく立っていないという典型的な例です。また、部長の判断を否定したり、常務に言いつけると脅してみたりと、人間性に疑問を持たれても仕方ない表現が多いですね。では、視座を高くして書き直してみましょう。